2017年12月27日水曜日

2017年12月 薬価基準追補収載 ~各論:会社編~

 今回は、1 2月8日に薬価基準収載がされたジェネリック医薬品の動向を、各会社に注目して分析していきたいと思います。


事業形態ごとの特徴


 各会社をその事業形態から次の様に分類し、
  1. 専業大手3社(東和薬品・沢井製薬・日医工)
  2. 外資系大手3社(テバ・サンド・マイラン)
  3. 卸系3社(共創未来・日本ジェネリック・三和化学)
  4. 新薬系(エルメッドエーザイ・日本ケミファ・第一三共エスファ・日本化薬・Meiji Seikaファルマ)
  5. その他(ニプロ等)
それぞれが薬価集した製品を次の様に分類し、
  1. 初収載
  2. AG後追い
  3. その他
整理してみました(※図中、赤文字の製品は単独開発の製品を、青文字の製品は共同開発グループを形成している製品を指します)。



分類結果

1.専業大手3社


2.外資系大手



























3.卸系3社

4.新薬系

5.その他








































1.専業大手3社の特徴


  • 成分・品目数が多い
  • “初収載”として、イルベサルタンとファムシクロビル、“AG後追い”として、オルメサルタンとロスバスタチン、主要な製品を取り揃えている
  • 他社と共同開発グループを形成せず、独自開発製品が多い
  • 沢井製薬はシタフロキサシン、東和薬品はロピニロール、単独参入品目がある


2.外資系大手3社の特徴


  • 成分・品目数が少ない
  • イルベサルタンがなく、ファムシクロビルもマイラン1社のみ、オルメサルタンもマイラン1社のみと、主要な品目を取り揃えているとは言えない
  • オルメサルタンOD錠とロスバスタチンOD錠を独自開発していない


3.新薬系の特徴


  • 成分・品目数が少ない
  • 各社により方針が明確に分かれている。エルメッドエーザイと日本ケミファは大型品(イルベサルタン/オルメサルタン/ロスバスタチン)が主力、第一三共はAGが主力、日本化薬は抗がん剤に特化、Meiji Seikaは今回、規格追加のみ。


4.卸系3社の特徴


  • 共創未来ファーマと日本ジェネリックは、成分・品目数が多い
  • 他社と共同開発グループを形成している場合が多い


5.その他の特徴


  • ニプロは、成分・品目数が多い
  • ニプロは、独自開発の製品が多く、ニプロESファーマの誕生により、ベポタスチンAGを収載
  • ニプロ以外は、“初収載”と“AG後追い”をそれぞれ取り揃えているが、共同開発グループを形成している場合が多め


最後に


 事業形態ごとに整理してみると、それぞれ特徴が見えてきたように思います。
 その製品ラインナップから、専業大手3社(東和薬品・沢井製薬・日医工)の開発能力の高さがうかがえます。開発能力は、競合他社と差別化し、シェアを取るためには必要な能力と考えられます。
 ニプロは、主要な製品を揃えていることに加え、アダパレンのような外用剤からシプロフロキサシンのような注射剤まで幅広い剤形を開発しています。また、小林化工や大原薬品工業も主要な製品を揃えています。専業大手3社以外にも、これらの会社の開発能力の高さがうかがえます。
 一方、外資系大手3社(テバ・サンド・マイラン)は、主要な製品を揃えているとは言えず、日本市場に適応しきれていないように感じます。日本における外資系ジェネリックメーカーの存在意義はどこにあるのかでしょうか。
 第一三共エスファは、AGをラインナップし、日本化薬は抗がん剤に特化しています。Meiji Seikaファルマは、今回、規格追加品以外に薬価収載した製品はなく、ジェネリック事業を見直していることがうかがえます。新薬系メーカーは、AGの登場によって各社で方針が明確に分かれていると考えられます。
 ジェネリックの普及率が一定程度まで高くなった中、薬価制度が抜本的な改革、AGの登場等、日本のジェネリック市場は大きな転換期に来ている思います。ジェネリック会社は生き残りをかけ、知恵をしぼり、色々な挑戦をしてくるはずです。これから各社の動向に注目していきたいと思います。


2017年12月18日月曜日

2017年12月 薬価基準追補収載 ~各論:成分編②~

 今回は、12月8日に薬価基準収載がされたジェネリック医薬品の動向を、オーソライズド・ジェネリック(AG)後追い収載成分に注目して分析していきたいと思います。


AG後追いのジェネリック


ロスバスタチン

 今回、23社・79品目のロスバスタチンのジェネリックが薬価収載されました。今年の8月に26社・87品目が承認されていましたが、Meiji SeikaファルマがOD錠の薬価収載を見送りMeiji Seikaファルマ、武田テバファーマと富士フイルムファーマが普通錠の薬価収載を見送った結果、競合関係は以下のような状況です。











































 ロスバスタチンでは、以下の点が特徴的です。 
  • ロスバスタチン効能追加で分析しましたが、沢井製薬とファイザー(マイラン)だけが、いち早く「家族性高コレステロール血症」の効能を追加し、先発品(クレストール)と同じ効能・効果となったこと。ただ、ファイザー(マイラン)が普通錠のみであるのに対し、沢井製薬が普通錠とOD錠の両方を揃えたところは、さすが沢井製薬といったところでしょうか。
  • 普通錠を薬価収載した22社中、普通錠とOD錠両方を取り揃えた会社は15社と多いものの、OD錠は共同開発関係にある会社が多いこと
  • OD錠に外資系大手3社(テバ・サンド・マイラン)が単独で参入していないこと。
  • 東和薬品と高田製薬が、先発にない規格の10mgを発売したこと。


オルメサルタン

 今回、17社・79品目のオルメサルタンのジェネリックが薬価収載されました。今年の8月に21社・103品目が承認されていましたが、東和薬品、サンド、ダイト(科研)、エルメッドエーザイ、武田テバファーマ、共創未来ファーマが普通錠の薬価収載を見送った結果、競合関係は以下のような状況です。

































 オルメサルタンでは、以下の点が特徴的です。
  • 先発品(オルメテック)が普通錠の販売中止を発表し、OD錠への切り替えを進めていることが影響しているのか、普通錠の薬価収載を見送った会社が多っかたこと。
  • 普通錠とOD錠を揃えた会社が少なかったこと(小林化工とニプロ)。日医工、共和薬品も普通錠とOD錠がありますが、日医工のOD錠には5mgの規格がなく、共和薬品は、5mgと40mgの規格が普通錠、10mgと20mgの規格がOD錠という変則的な状態です。
  • 外資系大手3社(テバ・サンド・マイラン)が単独で参入していないこと(OD錠にファイザー(マイラン)がいますが、単独ではなくニプロとの共同開発)。


 オルメサルタンと言えば、ヨーグルトのような特有のにおいがすることで知られています。これは、メドキソミルエステルが徐々に切断され活性本体に変化することにより発生するジアセチルが原因物質であることが知られています。
 そのため、先発品のオルメテックOD錠は、β-シクロデキストリンを添加剤として使用することでジアセチルの発生を抑えるという発明をし、特許を取得しています(特許5688799,2030/2/16満了)。
 これに対し、ジェネリック各社のOD錠を見ると、当然、シクロデキストリンのような添加剤は使用されていません。沢井製薬のHPによれば有効成分由来のにおいと吸着する機能性PTPシートを使用しているそうですが、他のジェネリックがどのようににおいの対策を講じているかも気になるところです。



 次回は、12月8日に薬価基準収載がされたジェネリック医薬品の動向を、各会社に注目して分析していきたいと思います。








2017年12月 薬価基準追補収載 ~各論:成分編①~

 今回は、12月8日に薬価基準収載がされたジェネリック医薬品の動向を、ジェネリックが初めて収載された成分に注目して分析していきたいと思います。


初収載のジェネリック


イルベサルタン

 今回、10社・33品目のイルベサルタンのジェネリックが薬価収載されました。今年の8月に11社・36品目が承認されていましたが、第一三共エスファが12月の薬価収載を見送り競合関係は以下のような状況です。



















 第一三共エスファは、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタンのジェネリックに加え、テルミサルタンとオルメサルタンのオーソライズド・ジェネリックを販売しています。イルベサルタンが加われば、ARBをほぼ取り揃えることになりましたが、そこまではしなかったようです。
 
 イルベサルタンでは、以下の点が特徴的です。
  • 東和薬品だけがOD錠を収載したこと
  • 過去のARBと比較し、収載されたジェネリックの数が少ないこと
  • 外資系大手3社(テバ・サンド・マイラン)がどこも収載していないこと



ファムシクロビル

 今回、10社・12品目のファムシクロビルのジェネリックが薬価収載されました。今年の8月に承認を取得した会社で薬価収載を見送った会社はなく競合関係は以下のような状況です。














 ファムシクロビルでは、以下の点が特徴的です。
  • 単独での開発が10社中3社しかないこと
  • 第一三共エスファ/小林化工が先発品にない規格の500mg錠を発売したこと
  • 「単純疱疹」の効能・効果 / 用法・用量の追加が承認され、12月の薬価収載までに先発品と効能・効果 / 用法・用量との差異が解消されたこと



アダパレン

 今回、7社・8品目のアダパレンのジェネリックが薬価収載されました。今年の8月に8社・9品目が承認されていましたが、ポーラファルマが12月の薬価収載を見送り競合関係は以下のような状況です。















 アダパレンでは、以下の点が特徴的です。
  • ニプロ以外は全て同じ共同開発グループであること
  • ニプロがゲルに加えて、先発にないクリーム剤を発売したこと



ロピニロール塩酸塩(徐放錠)

 今回、東和薬品のロピニロール徐放錠2mg/4mg「トーワ」と共創未来ファーマのロピニロール徐放錠2mg/4mg「共創未来」の2社・4品目が薬価収載されました。
 
 ロピニロールの基本特許は以下の通りです。

効能・効果再審査期間特許1879525
-用途特許
レキップ錠パーキンソン病2014/10/192013/05/20
レキップCR錠パーキンソン病2016/06/282013/05/20
 
 用途特許は既に満了しているため、再審査期間(2016/6/28)の終了後の2016年8月申請、2017年8月承認・12月収載のサイクルとなったと考えられます。
 公開されている情報に基づき、競合関係を分析したところ、東和薬品のロピニロール徐放錠2mg/4mg「トーワ」と共創未来ファーマのロピニロール徐放錠2mg/4mg「共創未来」は共同開発と考えられます。
 
 ロピニロール(徐放錠)では、以下の点が特徴的です。
  • 実質的に、一つのジェネリックだけが参入したこと



シタフロキサシン水和物

 今回、沢井製薬のシタフロキサシン錠50mg「サワイ」が薬価収載されました。

 シタフロキサシンの基本特許は以下の通りです。

効能・効果再審査期間特許2714597
-物質特許
特許2903292
-用途特許
<適応菌種>
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)

<適応症>
○咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染
○膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎
○子宮頸管炎
○中耳炎、副鼻腔炎
○歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
2016/01/24
2014/04/26
2014/04/26

 物質特許と用途特許は既に満了しているため、再審査期間(2016/1/24)の終了後の2016年2月申請、2017年2月承認のサイクルで第一三共エスファがAG(シタフロキサシン錠50mg「DSEP」/シタフロキサシン細粒10%「DSEP」)の承認を取得していました。
 沢井製薬はAGから半サイクル遅れの2016年8月申請、2017年8月承認・12月薬価収載のサイクルとなりました。

 シタフロキサシンでは、以下の点が特徴的です。
  • 第一三共エスファが2017年6月に続き、12月にもAGの薬価収載しなかったこと
  • 沢井製薬のみが参入したことが



テモゾロミド

 今回、日本化薬のテモゾロミド錠20mg / 100mg「NK」が薬価収載されました。
 日本化薬のみが参入したことが特徴的です。



トラセミド

 今回、寿製薬のトラセミド錠4mg / 8mg「KO」が薬価収載されました。
 寿製薬のみが参入したことが特徴的です。



ベポタスチン

 今回、ニプロESファーマのベポタスチンベシル酸塩錠5mg / 10mg「タナベ」とベポタスチンベシル酸塩OD錠5mg / 10mg「タナベ」が薬価収載されました。
 ベポタスチンベポタスチン~続報~ベポタスチン~続報2~で分析しましたが、“円満解決”の結果、田辺製薬販売がニプロへ売却されたことで誕生したニプロESファーマから、通常のジェネリックに先行してAGが発売されることになったと思われます。



 次回は、12月8日に薬価基準収載がされたジェネリック医薬品の動向を、オーソライズド・ジェネリック(AG)後追い収載成分に注目して分析していきたいと思います。

2017年12月 薬価基準追補収載 ~概要~

 12月7日に後発医薬品等の薬価基準追補収載が官報告示され、12月8日に薬価基準収載がされました(官報はhttp://kanpou.npb.go.jp/から確認できます)。
 そこで、12月8日に薬価基準収載がされたジェネリック医薬品の動向を、概要/各論:成分編/各論:会社編に分けて分析していきたいと思います。



収載会社数が多かった成分Top 5


 薬価収載した会社数が多かった成分Top 5は、ロスバスタチンカルシウム、オルメサルタンメドキソミル、イルベサルタン、ファムシクロビル、アダパレンでした。


成分名収載会社数収載品目数
1ロスバスタチンカルシウム2379
2オルメサルタン メドキソミル1779
3イルベサルタン1033
4ファムシクロビル1012
5アダパレン78
 
 薬価収載を見送った会社も複数ありましたが、2017年9月に第一三共エスファからオーソライズド・ジェネリック(AG)が発売されたロスバスタチンとオルメサルタンのジェネリックに参入した会社が多かったです。また、イルベサルタンは、過去のARBの中で参入会社数がもっとも少ないという結果でした。

初収載成分


 この12月の薬価収載で初めてジェネリックが収載された成分は、次の8成分でした。


成分名収載会社数収載品目数
1イルベサルタン1033
2ファムシクロビル1012
3アダパレン78
4ロピニロール塩酸塩(CR)24
5シタフロキサシン水和物11
6テモゾロミド12
7トラセミド12
8ベポタスチンベシル酸塩14
 
 イルベサルタンでは、通常のジェネリックと同時にAGが薬価収載され、ベポタスチンでは、通常のジェネリックに先行してAGが薬価収載されました。一方、シタフロキサシンでは、第一三共エスファがAG(シタフロキサシン錠50mg「DSEP」/シタフロキサシン細粒10%「DSEP」)の承認を取得していましたが、AGの薬価収載はされませんでした。




会社別薬価収載成分数・品目数


 今回、2成分以上を薬価収載した会社は、次の22社でした。

会社名成分数品目数分類
1東和薬品株式会社822専業大手
2沢井製薬株式会社716専業大手
3ニプロ株式会社 + ニプロESファーマ株式会社620専業その他
4共創未来ファーマ株式会社511卸系
5日医工株式会社516専業大手
6日本ジェネリック株式会社512卸系
7小林化工株式会社417専業その他
8エルメッドエーザイ株式会社311新薬系
9株式会社陽進堂39専業その他
10大原薬品工業株式会社311専業その他
11辰巳化学株式会社39専業その他
12日新製薬株式会社37専業その他
13日本ケミファ株式会社311新薬系
14日本薬品工業株式会社38新薬系
15ファイザー株式会社 + マイラン製薬株式会社37外資系
16キョーリンリメディオ株式会社26専業その他
17ダイト株式会社25専業その他
19共和薬品工業株式会社28外資系
20高田製薬株式会社26専業その他
21第一三共エスファ株式会社24新薬系
22武田テバ薬品株式会社 + 武田テバファーマ株式会社24外資系

 
 専業大手3社(東和薬品・沢井製薬・日医工)は、手堅く製品を取り揃えてきた印象です。ニプロESファーマが加わったニプロや新たに登場した卸系の共創未来ファーマが存在感を増している一方、外資大手3社(テバ・サンド・マイラン)の存在感はいまいちです。




8月15日に承認されたAG


 2017年8月には、通常のジェネリックに先行して、4つのAG(キョーリンリメディオのモメタゾン点鼻液、参天アイケアのドルモロール配合点眼液(ドルゾラミド/チモロール配合点眼液)、サンドのトラボプロスト点眼液とエカレボ配合錠(レボドパ/カルビドパ/エンタカポン)が承認されましたが、結局、いずれも12月に薬価収載されることはありませんでした。
 2018年4月に受けるの薬価引下げを考慮し、AG以外のジェネリックに先行して12月に薬価収載するよりも、仮にAG以外のジェネリックと同時に薬価収載することになったとしても、2018年6月以降に薬価収載した方が得策という判断がされたのだと思われます。
 ジェネリック対策には、適応拡大、用法・用量の追加、剤形・規格追加、特許出願などがありますが、オーソライズド・ジェネリック(AG)は、ジェネリック対策の究極の答えなのではないでしょうか。



 次回は、12月8日に薬価基準収載がされたジェネリック医薬品の動向を、ジェネリックが初めて収載された成分に注目して分析していきたいと思います。

2017年12月11日月曜日

ベポタスチン~続報2~

 12月7日に後発医薬品等の薬価基準追補収載が官報告示され、12月8日に薬価基準収載がされました(官報はhttp://kanpou.npb.go.jp/から確認できます)。
 これにより、ベポタスチン~続報~で挙げた注目ポイントの内容が分かってきました。


注目ポイント


  1. 東和薬品、シオノケミカルおよび大興製薬のベポタスチンのジェネリックは12月に薬価収載されるのか?
    → 東和薬品、シオノケミカルおよび大興製薬は、ベポタスチンのジェネリックの12月の薬価収載を見送りました。
  2. ジェネリックが12月に薬価集された場合、いつ発売されるのか?
    → 東和薬品、シオノケミカルおよび大興製薬は、ベポタスチンのジェネリックの12月の薬価収載を見送ったため、早くとも2018年6月以降の発売となります。
  3. 田辺製薬販売が承認を取得したオーソライズド・ジェネリック(AG)は12月に薬価収載されるのか?→ オーソライズド・ジェネリック(AG)(ベポタスチンベシル酸塩錠5mg・10mg「タナベ」/ベポタスチンベシル酸塩OD錠5mg・10mg「タナベ」)が、12月に薬価収載されました。
  4. AGが12月に薬価集された場合、いつ発売されるのか?
    → ニプロESファーマのHPによると
    AGは3月発売予定だそうです
  5. 田辺製薬販売はニプロへ売却され、ニプロESファーマとなったので、AGはどこから発売されるのか?
    → ニプロESファーマのHPから発売されます。


“円満解決”の内容


 12月の薬価基準追補収載から、田辺三菱製薬のプレスリリースの“円満解決”の内容が少しだけ明らかになりました。“円満解決”には次の合意があったと推測されます。

  1. 東和薬品、シオノケミカルおよび大興製薬は、12月にベポタスチンのジェネリックを薬価収載しない。
  2. AGは12月に薬価収載するが、収載後、一定期間は発売しない。



最後に


 仮処分命令の申立ての対象特許である特許4704362と特許4562229は、2017年12月19日に満了しますので、12月20日以降に東和薬品、シオノケミカルおよび大興製薬が原料を生産/輸入し、製剤を製造/輸入し、販促活動しても、その行為自体には特許権の効力は及びません。
 そのため、私は、「AGと東和薬品、シオノケミカルおよび大興製薬のジェネリックは12月に同時に薬価収載され、東和薬品、シオノケミカルおよび大興製薬がジェネリックの発売をAGより遅らせる」というのが、“円満解決”の内容では?と推測していました。
 また、東和薬品、シオノケミカルおよび大興製薬が12月の薬価収載を見送ると、AGに市場を奪われる上に、他のジェネリックメーカーに追いつかれる虞もありますし、薬価改定の影響も受けるため、あまりメリットがないように思えます。
 何故、東和薬品、シオノケミカルおよび大興製薬がこのような“円満解決”に応じたのか、とても気になるところです。
 他方、ベポタスチンで分析したように、医政経発第0605001号に基づけば、本来、AG以外のベポタスチンのジェネリックは2018年2月まで承認されないはずです。そのため、他のジェネリック企業とこ公平という観点からは、東和薬品、シオノケミカルおよび大興製薬のベポタスチンのジェネリックが12月に薬価収載されなかったことは、妥当であると言えると思います。