2017年12月18日月曜日

2017年12月 薬価基準追補収載 ~各論:成分編①~

 今回は、12月8日に薬価基準収載がされたジェネリック医薬品の動向を、ジェネリックが初めて収載された成分に注目して分析していきたいと思います。


初収載のジェネリック


イルベサルタン

 今回、10社・33品目のイルベサルタンのジェネリックが薬価収載されました。今年の8月に11社・36品目が承認されていましたが、第一三共エスファが12月の薬価収載を見送り競合関係は以下のような状況です。



















 第一三共エスファは、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタンのジェネリックに加え、テルミサルタンとオルメサルタンのオーソライズド・ジェネリックを販売しています。イルベサルタンが加われば、ARBをほぼ取り揃えることになりましたが、そこまではしなかったようです。
 
 イルベサルタンでは、以下の点が特徴的です。
  • 東和薬品だけがOD錠を収載したこと
  • 過去のARBと比較し、収載されたジェネリックの数が少ないこと
  • 外資系大手3社(テバ・サンド・マイラン)がどこも収載していないこと



ファムシクロビル

 今回、10社・12品目のファムシクロビルのジェネリックが薬価収載されました。今年の8月に承認を取得した会社で薬価収載を見送った会社はなく競合関係は以下のような状況です。














 ファムシクロビルでは、以下の点が特徴的です。
  • 単独での開発が10社中3社しかないこと
  • 第一三共エスファ/小林化工が先発品にない規格の500mg錠を発売したこと
  • 「単純疱疹」の効能・効果 / 用法・用量の追加が承認され、12月の薬価収載までに先発品と効能・効果 / 用法・用量との差異が解消されたこと



アダパレン

 今回、7社・8品目のアダパレンのジェネリックが薬価収載されました。今年の8月に8社・9品目が承認されていましたが、ポーラファルマが12月の薬価収載を見送り競合関係は以下のような状況です。















 アダパレンでは、以下の点が特徴的です。
  • ニプロ以外は全て同じ共同開発グループであること
  • ニプロがゲルに加えて、先発にないクリーム剤を発売したこと



ロピニロール塩酸塩(徐放錠)

 今回、東和薬品のロピニロール徐放錠2mg/4mg「トーワ」と共創未来ファーマのロピニロール徐放錠2mg/4mg「共創未来」の2社・4品目が薬価収載されました。
 
 ロピニロールの基本特許は以下の通りです。

効能・効果再審査期間特許1879525
-用途特許
レキップ錠パーキンソン病2014/10/192013/05/20
レキップCR錠パーキンソン病2016/06/282013/05/20
 
 用途特許は既に満了しているため、再審査期間(2016/6/28)の終了後の2016年8月申請、2017年8月承認・12月収載のサイクルとなったと考えられます。
 公開されている情報に基づき、競合関係を分析したところ、東和薬品のロピニロール徐放錠2mg/4mg「トーワ」と共創未来ファーマのロピニロール徐放錠2mg/4mg「共創未来」は共同開発と考えられます。
 
 ロピニロール(徐放錠)では、以下の点が特徴的です。
  • 実質的に、一つのジェネリックだけが参入したこと



シタフロキサシン水和物

 今回、沢井製薬のシタフロキサシン錠50mg「サワイ」が薬価収載されました。

 シタフロキサシンの基本特許は以下の通りです。

効能・効果再審査期間特許2714597
-物質特許
特許2903292
-用途特許
<適応菌種>
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)

<適応症>
○咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染
○膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎
○子宮頸管炎
○中耳炎、副鼻腔炎
○歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
2016/01/24
2014/04/26
2014/04/26

 物質特許と用途特許は既に満了しているため、再審査期間(2016/1/24)の終了後の2016年2月申請、2017年2月承認のサイクルで第一三共エスファがAG(シタフロキサシン錠50mg「DSEP」/シタフロキサシン細粒10%「DSEP」)の承認を取得していました。
 沢井製薬はAGから半サイクル遅れの2016年8月申請、2017年8月承認・12月薬価収載のサイクルとなりました。

 シタフロキサシンでは、以下の点が特徴的です。
  • 第一三共エスファが2017年6月に続き、12月にもAGの薬価収載しなかったこと
  • 沢井製薬のみが参入したことが



テモゾロミド

 今回、日本化薬のテモゾロミド錠20mg / 100mg「NK」が薬価収載されました。
 日本化薬のみが参入したことが特徴的です。



トラセミド

 今回、寿製薬のトラセミド錠4mg / 8mg「KO」が薬価収載されました。
 寿製薬のみが参入したことが特徴的です。



ベポタスチン

 今回、ニプロESファーマのベポタスチンベシル酸塩錠5mg / 10mg「タナベ」とベポタスチンベシル酸塩OD錠5mg / 10mg「タナベ」が薬価収載されました。
 ベポタスチンベポタスチン~続報~ベポタスチン~続報2~で分析しましたが、“円満解決”の結果、田辺製薬販売がニプロへ売却されたことで誕生したニプロESファーマから、通常のジェネリックに先行してAGが発売されることになったと思われます。



 次回は、12月8日に薬価基準収載がされたジェネリック医薬品の動向を、オーソライズド・ジェネリック(AG)後追い収載成分に注目して分析していきたいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿