イルベサルタン / アムロジピン
イルベサルタンの物質特許(特許2868313)は既に満了し、再審査期間が2016年9月27日に終了したため、2017年2月申請~2018年2月承認となると考えられます。
イルベサルタン単剤では、オーソライズド・ジェネリック(AG)が投入されていますので、イルベサルタン/アムロジピン配合剤でもAGが投入される可能性があります。
参考:
8月15日付医薬品承認情報 ~イルベサルタン 前編~
8月15日付医薬品承認情報~イルベサルタン 後編~
オセルタミビルリン酸塩
再審査期間は既に終了し、オセルタミビルリン酸塩の物質特許(特許3622983)が2017年8月22日に満了したため、2017年2月申請~2018年2月承認となると考えられます。
「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の予防」について、物質特許(特許3300365)が2018年5月19日まで延長されているため、2月の承認時点のジェネリック医薬品の効能・効果は、「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症」のみと思われます。
承認後、速やかに効能追加の申請を行った場合、モンテルカストやファムシクロビルと同様に6月の薬価基準収載までに効能追加が承認される可能性があります。
ナルフラフィン塩酸塩
「血液透析患者におけるそう痒症」について、再審査期間が2017年1月20日に終了し、ナルフラフィンの物質特許(特許2525552)が2018年1月22日満了するため、2017年2月申請~2018年2月承認となると考えられます。
「慢性肝疾患患者におけるそう痒症」については、用途特許(特許3531170)が2022年11月21日まで延長され、「腹膜透析患者におけるそう痒症」については、延長期間は不明ですが、用途特許(特許3531170)の延長登録出願がされているため、2月の承認時点のジェネリック医薬品の効能・効果は、「血液透析患者におけるそう痒症」のみと思われます。
ミノドロン酸水和物
ミノドロン酸の物質特許(特許1963877)は既に満了し、再審査期間が2017年1月20日に終了したため、2017年2月申請~2018年2月承認となると考えられます。
モダフィニル
モダフィニルの用途特許(特許1980171)は既に満了し、「下記疾患に伴う日中の過度の眠気:ナルコレプシー」について、再審査期間が2017年1月25日に終了したため、2017年2月申請~2018年2月承認となると考えられます。
「下記疾患に伴う日中の過度の眠気:持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群」については、再審査期間が2017年9月24日に満了したため、2月の承認時点のジェネリック医薬品の効能・効果は、「記疾患に伴う日中の過度の眠気:ナルコレプシー」のみと思われます。
承認後、速やかに効能追加の申請を行った場合、モンテルカストやファムシクロビルと同様に6月の薬価基準収載までに効能追加が承認される可能性があります。
ラモトリギン
ラモトリギンの用途特許(特許1567898)は既に満了し、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の下記発作に対する抗てんかん薬との併用療法:部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作、Lennox-Gastaut 症候群における全般発作」、「双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制」および「てんかん患者における単剤療法:部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作」について、再審査期間が2016年10月15日に終了したため、2017年2月申請~2018年2月承認となると考えられます。
「てんかん患者における単剤療法:定型欠神発作」については、再審査期間が2019年9月23日に満了するため、2月の承認時点のジェネリック医薬品の効能・効果は、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の下記発作に対する抗てんかん薬との併用療法:部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作、Lennox-Gastaut 症候群における全般発作」、「双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制」および「てんかん患者における単剤療法:部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作」と思われます。
レボフロキサシン
レボフロキサシンの物質特許と用途特許(特許2008845/特許1659502)は既に満了し、再審査期間が2016年10月26日に終了したため、2017年2月申請~2018年2月承認となると考えられます。
炭酸ランタン水和物
炭酸ランタン3~6水和物に係る特許3224544は、3~6水和物以外の水和物を使用すれば、回避でき、再審査期間が2016年10月15日に終了したため、2017年2月申請~2018年2月承認となると考えられます。
参考:炭酸ランタン
カペシタビン
再審査期間は既に終了し、本来、2018年12月16日に満了するはずだったカペシタビンの物質特許(特許2501297)が、年金不能により抹消されたため、いつでもジェネリックを出せる状況です。
2016年11月にMF登録されていることから、2017年2月申請~2018年2月承認の可能性があります。
但し、年金不能による抹消からの時間を考慮すると、2018年2月承認からずれ込む可能性もあり得そうです。
トラボプロスト
トラボプロスト単剤については、トラボプロストの物質特許と用途特許(特許2791544/特許3650258)は既に満了し、再審査期間も2015年7月30日に終了しているため、早ければ、2015年8月申請~2016年8月承認が可能でした。
トラボプロスト/チモロールマレイン酸配合剤については、用途特許(特許3650258)が2018年8月12日まで延長されているため、2017年8月申請~2018年8月承認となると考えられます。
2017年1月と2月にMF登録されています。これらがトラボプロスト単剤のためなのか、トラボプロスト/チモロールマレイン酸配合剤のためなのかは不明ですが、トラボプロスト単剤ならば、2017年2月申請~2018年2月承認の可能性があります。
参考:8月15日付医薬品承認情報 ~トラボプロスト点眼液~
ドルゾラミド/チモロール
ドルゾラミドの物質特許(特許1909232)は、2012年7月23日に、ドルゾラミド/チモロールの組合せに係る配合特許(特許2527513)は、2015年7月27日に満了し、再審査期間が2016年4月15日に終了したため、早ければ、2016年8月申請~2017年8月承認が可能でした。
2017年2月にMF登録されていることから、2017年2月申請~2018年2月承認の可能性があります。
参考:8月15日付医薬品承認情報 ~ドルゾラミド/チモロール配合点眼液~
ブデソニド / ホルモテロールフマル酸塩
気管支喘息について、再審査期間が既に終了し、ブデソニドとホルモテロールの配合に係る特許(特許3342484)が2017年12月7日に満了したため、2017年2月申請~2018年2月承認の可能性があります。
但し、日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会による配合剤の統一ブランド名「ブデホル」の商標登録がされたのが、2017年3月であったことや通常の経口剤と異なり、製剤/デバイス/同等性評価の観点から、開発が難しいと思われ、2018年2月承認からずれ込む可能性もあり得そうです。
ブリンゾラミド
ブリンゾラミド単剤については、ブリンゾラミドの物質特許と用途特許(特許2562394)が2016年4月3日に満了し、再審査期間も2010年10月7日に終了しているため、早ければ、2015年8月申請~2016年8月承認が可能でした。
ブリンゾラミド/チモロールマレイン酸配合剤については、再審査期間が2019年9月20日に終了するため、2020年2月申請~2021年2月承認となると考えられます。
2017年1月から2月にかけてMF登録されていることから、ブリンゾラミド単剤であれば、2017年2月申請~2018年2月承認の可能性があります。
フレカイニド酢酸塩
再審査期間は既に終了し、調べた限り、有効に存続しているような基本特許もなかったため、いつでもジェネリックを出せる状況です。
2017年1月にMF登録されていることから、2017年2月申請~2018年2月承認の可能性があります。
モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物
現在、ナゾネックス®点鼻液を保護する用途/製剤に係る特許3480736(満了日:2019年10月31日)に対する無効審判が、特許庁で審理されています。特許情報プラットフォームで確認した限り、審決の予告も審理終結通知もされていないため、2月の承認までに無効審判の結果が出ることはなさそうです。
無効審判の審理が行われている状況で、医薬品医療機器総合機構・厚生労働省が製造販売承認を下ろすか否かは不透明ですが、早ければ、2018年2月承認の可能性があります。
参考:
8月15日付医薬品承認情報 ~モメタゾン点鼻液 前編~
8月15日付医薬品承認情報 ~モメタゾン点鼻液 中編~
8月15日付医薬品承認情報 ~モメタゾン点鼻液 後編~
リセドロン酸ナトリウム水和物
リセドロン酸の物質特許と用途特許(特許3480736 /特許1988571)は既に満了しています。物質特許と用途特許以外にも、特許5910698、特許5761274および特許5377852(満了日:2024年9月25日)が存在します。
特許5910698
“【請求項1】
リセドロネートの製薬上許容できる塩、溶媒和化合物もしくはそれらの多形体と、
1つ以上の製薬上許容できる賦形剤と、
を含む、ヒトもしくは他の哺乳類における骨疾患の治療または予防用の医薬組成物であって、
骨疾患の治療または予防を必要としているヒトもしくは他の哺乳類に、月に連続して1日、2日もしくは3日の継続服薬スケジュールに従って、65%~110%の1ヶ月間の累積的な有効量の前記組成物を経口投与することを含むことを特徴とする医薬組成物。”
特許5761274
“【請求項1】
リセドロネートと、1つ以上の製薬上許容できる賦形剤とを含む、ヒトもしくは他の哺乳類における骨疾患の治療または予防用の医薬組成物であって、
骨疾患の治療または予防を必要としているヒトもしくは他の哺乳類に、月に連続して1日、2日もしくは3日の継続服薬スケジュールに従って、65%~110%の1ヶ月間の累積的な有効量の前記組成物を経口投与することを含むことを特徴とする医薬組成物。”
特許5377852
“【請求項1】
リセドロネートを含む、ヒトもしくは他の哺乳類における骨疾患の治療または予防用の錠剤型組成物であって、
骨疾患の治療または予防を必要としているヒトもしくは他の哺乳類に、月に連続して1日、2日もしくは3日の継続服薬スケジュールに従って、65%~110%の1ヶ月間の累積的な有効量の前記組成物を経口投与することを含むことを特徴とする錠剤型組成物。”
2017年4月、東和薬品はこれら3件の特許に対する無効審判を請求し、現在、特許庁で審理が行われています。
無効審判の審理が行われている状況で、医薬品医療機器総合機構・厚生労働省が製造販売承認を下ろすか否かは不透明ですが、早ければ、2016年12月24日の再審査終了後の2017年2月申請~2018年2月承認となると可能性があります。
塩酸レボブピバカイン
「術後鎮痛」については、再審査期間が2016年4月15日に終了し、「伝達麻酔」については、再審査期間が2017年4月21日に終了し、調べた限り、有効に存続しているような基本特許もなかったため、早ければ、2016年8月申請~2017年8月承認も可能でした。
2017年2月にMF登録されていることから、2017年2月申請~2018年2月承認の可能性があります。
タダラフィル
タダラフィル(シアリス)の再審査期間は、2015年7月30日に終了しています。また、タダラフィルの物質特許(特許3808095)は、2016年3月23日に、タダラフィルの用途特許(特許4169365)は、2016年7月11日に満了しています。これら以外に、タダラフィルの用法・用量に関する用途特許(特許4975214、満了日:2020年4月26日)が登録されています。
特許4975214
“【請求項1】
1日あたり20mgの総用量を上限として、以下の構造式:
を有する化合物を単位製剤あたり1乃至20mg含み、ヒトにおける勃起不全の処置に使用される内服用単位製剤。“
東和薬品は、タダラフィルの用法・用量に関する用途特許(特許4975214)に対する無効審判を請求していましたが、途中で取下げています。これは、東和薬品が特許権者からライセンスを受けることを条件に、特許4975214に対する無効審判の取下げに合意した可能性を示唆していると言えます。
タダラフィル(シアリス)は、シルデナフィル(バイアグラ)などのように薬価収載されていない品目ですので、通常のジェネリック医薬品と異なり、2月承認・6月薬価収載 / 月承認・12月薬価収載のサイクルには乗ってきませんが、無効審判が取下げられた時期(2017年8月末)を考慮すると、早ければ、2018年1月~3月頃に承認される可能性があります。
承認を取得する会社は、無効審判を請求していた東和薬品と予想されます。また、東和薬品の関連会社であるジェイドルフ製薬が、2017年2月にジエノゲスト錠1mg「キッセイ」の承認を、2017年8月に ジエノゲストOD錠1mg「キッセイ」の承認を取得しています。キッセイ薬品は、タダラフィルと同じ効能のシルデナフィルのジェネリック医薬品を販売しているため、東和薬品の関連会社であるジェイドルフ製薬が、キッセイの屋号で承認を取得する可能性もあり得ます。
次回は、2018年2月に承認されると予想したジェネリック医薬品の中で最も注目しているナルフラフィンについて、深堀してみたいと思います。