イルベサルタン/アムロジピン配合錠の基本特許
基本特許は以下の通りです。
イルベサルタンの物質特許(特許2868313)は既に満了し、再審査期間が2016年9月27日に終了したため、2017年2月申請~2018年2月承認となったと考えられます。
イルベサルタン単剤と同様に、DSファーマバイオメディカルのイルベサルタン/アムロジピン配合錠のオーソライズド・ジェネリック(AG)とAG以外のジェネリック医薬品が同時に承認されました。たとえAGであったとしても再審査期間終了後でないとジェネリック医薬品として製造販売承認申請できないため、AGとAG以外のジェネリックが同じタイミングで承認されたと考えられます。
各社の競合関係
2月22日時点で公開されている製品情報に基づき、承認された20社の競合関係を分析した結果は以下の通りでした。
2月22日時点で製品情報が公開されていないメディサ新薬、沢井製薬、鶴原製薬、共和薬品工業及びマイラン製薬(ファイザー)については、競合関係を分析することはできませんでした。しかし、承認番号の並びから以下のような競合関係にあると推測されます(※製品情報の公開後、更新予定)。
東和薬品だけがOD錠と普通錠の二つの剤形を揃えていますが、普通錠は単独ではなく、共同開発グループに属しています。また、沢井製薬に加えて、沢井製薬の子会社であるメディサ新薬も承認を取得している点も気になるところです。
注目製品
イルアミクス配合錠の中で特許の観点から注目したいのが、沢井製薬のイルアミクス配合錠LD「サワイ」/イルアミクス配合錠HD「サワイ」です。 理由は、沢井製薬が大日本住友製薬は保有する製剤に関する特許6041591に対して無効審判を請求しているからです。
特許6041591
特許6041591の内容は以下の通りです。
❝【請求項1】
イルベサルタン、アムロジピンまたはその塩、D-マンニトール及び結晶セルロースである賦形剤、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、アルファ化澱粉およびコポリビドンから選択される結合剤を含有する安定化された医薬組成物。❞
沢井製薬は、2017年5月に無効審判(2017-800067)を請求し、現在、特許庁で審理中であり、2018年4月に口頭審理が開かれる予定となっています。
今後の展開
無効審判を請求していることから、沢井製薬にとって特許6041591は邪魔な特許であると推測されます。沢井製薬のイルアミクス配合錠LD「サワイ」/イルアミクス配合錠HD「サワイ」が、特許6041591に係る発明の技術的範囲に含まれ、6月の薬価収載に踏み切った場合、特許係争に発展する可能性も考えられます。
また、沢井製薬の子会社であるメディサ新薬が、イルアミクス配合錠LD「MED」/イルアミクス配合錠HD「MED」の承認を共同開発で取得している点も気になるところです。
子会社を使い、特許6041591に係る発明の技術的範囲に含まれない製品を他社から導入することで、特許係争のリスクを低減しているとも考えることができます。
今後、以下の点が注目されます。
- 無効審判(2017-800067)により特許6041591が無効と判断されるか?
- 沢井製薬がイルアミクス配合錠LD「サワイ」/イルアミクス配合錠HD「サワイ」を6月に薬価収載するか?
- 沢井製薬がイルアミクス配合錠LD「サワイ」/イルアミクス配合錠HD「サワイ」を6月に薬価収載した場合、係争に発展するか?
- 無効審判(2017-800067)により特許6041591が無効と判断されるか?
- イルアミクス配合錠LD「サワイ」/イルアミクス配合錠HD「サワイ」の代わりにイルアミクス配合錠LD「MED」/イルアミクス配合錠HD「MEDを6月に薬価収載するか?
今後の展開に注目していきたいと思います。
マイラン製薬(ファイザー)の製品情報が公開されていました。分析した結果、グループ4に属しています。
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