2018年7月30日月曜日

2018年8月承認予想

 再審査期間/特許/MF登録の状況を用い、2018年12月の薬価追補収載に向けて8月に承認されるジェネリック医薬品を予想してみたいと思います。


予想品目一覧



有効成分名製品名企業名2018年8月承認
アトモキセチン塩酸塩ストラテラ カプセル / 内用液日本イーライリリー
エレトリプタン臭化水素酸塩レルパックス錠ファイザー
トラボプロスト /
チモロールマレイン酸塩
デュオトラバ配合点眼液アルコン
ノバルティス
トラマドール塩酸塩 /
アセトアミノフェン
トラムセット配合錠持田製薬
ヤンセンファーマ
ビマトプロストルミガン点眼液千寿製薬
武田薬品
ミルタザピンリフレックス錠 / レメロン錠MeijiSeika
MSD
デクスメデトミジン塩酸塩プレセデックス静注液ファイザー
丸石製薬
サルメテロールキシナホ酸塩 /
フルチカゾンプロピオン酸エステル
アドエアGSK×
シロドシンユリーフ錠 / OD錠キッセイ薬品
第一三共
△(AG)
ゲフィチニブイレッサ錠アストラゼネカ△(AG)
ブデソニド /
ホルモテロールフマル酸塩
シムビコートタービュヘイラーアストラゼネカ
アステラス
モダフィニルモディオダール錠アルフレッサファーマ
田辺三菱製薬
カペシタビンゼローダ錠中外製薬
モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物ナゾネックス点鼻液MSD×
リセドロン酸ナトリウム水和物アクトネル錠75mg /
ベネット錠75mg
EAファーマ
武田薬品
×
○:2月承認、△:2月承認でない可能性あり、×:2月承認の可能性低




各品目


アトモキセチン塩酸塩(先発名:ストラテラカプセル5mg/ストラテラカプセル10mg/ストラテラカプセル25mg/ストラテラカプセル40mg/ストラテラ内用液0.4%,先発企業:日本イーライリリー)



効能・効果再審査期間
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)2017/04/21

 日本で登録された物質特許は見当たらず再審査期間が2017年4月21日に終了したため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性があります。

 先発品にはカプセルと内用液の二種類の剤形があり、製剤特許さえ回避できれば、カプセルと内用液のジェネリックを同時に発売することも可能です。ジェネリックがカプセルと内用液の両剤形を揃えてくるのか、あるいは錠剤や細粒・顆粒といったような先発品にない剤形を開発してくるのか興味があるところです。 



エレトリプタン臭化水素酸塩(先発名:レルパックス錠20mg,先発企業:ファイザー)


効能・効果再審査期間特許2904588
-物質
片頭痛2010/04/102018/06/29

 再審査期間が2010年4月10日に終了し、物質特許(特許2904588)が2018年6月29日に満了したため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性があります。
 先発品は普通錠ですが、過去のトリプタン系のジェネリックではOD錠や内用液も発売さていますので、ジェネリックがOD錠等を開発してくるのか興味があるところです。



トラボプロスト / チモロールマレイン酸塩(先発名:デュオトラバ配合点眼液,先発企業:アルコン ファーマ/ノバルティス ファーマ)


効能・効果再審査期間特許2791544
-物質
特許3650258
-用途
緑内障、高眼圧症2016/04/152014/08/032018/08/12

トラボプロスト/チモロールマレイン酸配合剤の再審査期間は2016年4月15日に終了し、用途特許(特許3650258)も2018年8月12日に満了するため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性があります。
 トラボプロスト / チモロールマレイン酸塩配合点眼液のジェネリックの統一ブランド名称が、「トラチモ」と発表されていますので、ジェネリックの名称は、トラチモ配合点眼液「屋号」となると予想されます。
 また、トラボプロスト単剤では、薬価収載しなかったものの、ジェネリックに先行して、サンドがAGの承認を取得しましたが、トラボプロスト / チモロールマレイン酸塩配合点眼液では、先行してAGの承認を取得しませんでした。



トラマドール塩酸塩 / アセトアミノフェン(先発名:トラムセット配合錠,先発企業:持田製薬/ヤンセンファーマ)



効能・効果再審査期間特許3381190
-配合
非オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛
非がん性慢性疼痛
抜歯後の疼痛
2017/04/212017/09/03

 トラマドール塩酸塩 / アセトアミノフェンの配合特許(特許3381190)が2017年9月3日に満了し、再審査期間が2017年4月21日に終了したため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性があります。
 トラマドール塩酸塩 / アセトアミノフェンのジェネリックの統一ブランド名称が、「トアラセット」と発表されていますので、ジェネリックの名称は、トアラセット配合錠「屋号」となると予想されます。
 トラマドール塩酸塩有効成分と製品として、ワントラム錠100mg/トラマールOD錠25mg/トラマールOD錠50mg/トラマール注100も販売されています。ワントラム錠については、再審査期間が2019年3月まであり、少なくとも2018年8月承認の可能性はないと考えられます。トラマール錠と/トラマール注については、再審査期間/基本特許の関係からは、既にジェネリックを発売できる状態にあります。
 持田製薬にはAGの前例(ジエノゲスト)があります。そのため、AGの承認を取得するのか興味があるところです。



ビマトプロスト(先発名:ルミガン点眼液0.03%,先発企業:千寿製薬/武田薬品工業)



効能・効果再審査期間特許3681068
-物質/用途
緑内障、高眼圧症2017/07/062017/10/18

 物質特許(特許3681068)が2017年10月8日に満了し、再審査期間が2017年7月6日に終了したため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性があります。
 ビマトプロストを有効成分と製品として、グラッシュビスタ外用液剤0.03%5mLも販売されていますが、再審査期間が2020年3月まであるため、少なくとも2018年8月承認の可能性はないと考えられます。
 また、千寿製薬にAGの前例はありませんが、武田薬品には武田テバがあります。そのため、AGの承認を取得するのか興味があるところです。



ミルタザピン(先発名:リフレックス錠15mg/リフレックス錠30mg/レメロン錠15mg/レメロン錠30mg,先発企業:MeijiSeikaファルマ/MSD)



効能・効果再審査期間特許1265274
-物質
うつ病・うつ状態2017/07/061996/04/02

 物質特許(特許1265274)が1996年4月2日に満了し、再審査期間が2017年7月6日に終了したため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性があります。
 MeijiSeikaファルマとMSDにはそれぞれAGの前例(セフジトレンピボキシル/モンテルカストナトリウム/モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物)があります。そのため、AGの承認を取得するのか興味があるところです。



デクスメデトミジン塩酸塩(先発名:プレセデックス静注液200μg「ファイザー」/プレセデックス静注液200μg「マルイシ」/プレセデックス静注液200μg/50mLシリンジ「ファイザー」/プレセデックス静注液200μg/50mLシリンジ「マルイシ」,先発企業:ファイザー/丸石製薬)



効能・効果再審査期間特許1899058
-物質
特許4606581
-用途
集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静2012/01/282012/06/022019/03/31
局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静2017/06/132012/06/02-

 物質特許(特許1899058)が2012年6月2日に満了し、「局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静」の再審査期間が2017年6月23日に終了したため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性があります。
 「集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静」については、2019年3月31日に満了する用途特許(特許4606581)が登録されているため、承認される効能・効果は「局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静」のみと考えられます。
 ファイザーにはAGの前例はないものの、丸石製薬にはAGの前例(セブフルラン)があります。そのため、AGの承認を取得するのか興味があるところです。



サルメテロールキシナホ酸塩 / フルチカゾンプロピオン酸エステル(先発名:アドエア100ディスカス28吸入用/アドエア100ディスカス60吸入用/アドエア250ディスカス28吸入用/アドエア250ディスカス60吸入用/アドエア500ディスカス28吸入用/アドエア500ディスカス60吸入用/アドエア50エアゾール120吸入用/アドエア125エアゾール120吸入用/アドエア250エアゾール120吸入,先発企業:GSK)



効能・効果再審査期間特許1643826
-物質
特許1488353
-物質
特許3042867
-配合
気管支喘息2017/04/172009/04/182006/02/132015/09/07
慢性閉塞性肺疾患2017/04/172009/04/182001/02/132014/10/17

 配合特許(特許3042867)が2015年9月7日に満了し、再審査期間が2017年4月17日に終了したため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性がありましたが、日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会から配合剤の統一ブランド名が発表されていないため、2018年8月承認の可能性は極めて低いと考えられます。



シロドシン(先発名:ユリーフ錠2mg/ユリーフ錠4mg/ユリーフOD錠2mg/ユリーフOD錠4mg,先発企業:キッセイ薬品/第一三共)



効能・効果再審査期間特許2944402
-物質
前立腺肥大症に伴う排尿障害2014/01/222018/12/01

 再審査期間が2014年1月22日に終了し、物質特許(特許2944402)が2018年12月1日に満了するため、ジェネリックは2018年2月申請~2019年2月承認と考えられます。
 ここで、先発品を販売するのが第一三共であることに注目したいと思います。第一三共は、第一三共エスファを通じてAGを積極的に展開し、自社が販売するオルメテック(オルメサルタン)のAGを、ジェネリックに先行して承認・薬価収載したという前例があります。オルメサルタンと同様に、シロドシンについても先行してAGの承認を取得する可能性があるのではないでしょうか。



ゲフィチニブ(先発名:イレッサ錠250,先発企業:アストラゼネカ)



効能・効果再審査期間特許3040486
-物質
EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌2010/07/042018/08/24

 再審査期間が2010年7月4日に終了し、物質特許(特許3040486)が2018年8月24日に満了するため、ジェネリックは2018年2月申請~2019年2月承認と考えられます。
 ここで、先発品を販売するのが第一三共であることに注目したいと思います。第一三共は、第一三共エスファを通じてAGを積極的に展開し、アストラゼネカと塩野義製薬が販売するクレストール(ロスバスタチン)のAGを、ジェネリックに先行して承認・薬価収載したという前例があります。また、第一三共エスファは抗がん剤のAGを展開していくこと発表しています。ロスバスタチンと同様に、ゲフィチニブについても先行してAGの承認を取得する可能性があるのではないでしょうか。



ブデソニド / ホルモテロールフマル酸塩(先発名:シムビコートタービュヘイラー30吸入/シムビコートタービュヘイラー60吸入,先発企業:アストラゼネカ/アステラス製薬)



効能・効果再審査期間特許3224544
-配合
気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
1) 本剤を維持療法として使用する場合
2015/10/152017/12/07
気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
2) 本剤を維持療法に加えて頓用吸入としても使用する場合
2016/06/212017/12/07
慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)2016/08/092012/12/07

 気管支喘息について、再審査期間が既に終了し、ブデソニドとホルモテロールの配合に係る特許(特許3342484)が2017年12月7日に満了したため、早ければ2017年2月申請~2018年2月承認の可能性がありましたが、実際には2018年2月承認はありませんでした。
 しかし、既に日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会から、配合剤の統一ブランド名「ブデホル」が発表されていますので、ジェネリックを開発している企業がある可能は高いと考えられます。
 通常の経口剤と異なり、製剤/デバイス/同等性評価の観点から、開発が難しいと思われ、2018年2月承認からどれだけずれ込むかは不透明ではありますが、早ければ、2018年8発承認の可能性もあり得ると考えられます。



モダフィニル(先発名:モディオダール錠100mg,先発企業:アルフレッサファーマ/Cephalon/田辺三菱製薬)



効能・効果再審査期間特許1980171
-用途
下記疾患に伴う日中の過度の眠気
ナルコレプシー
2017/01/252007/01/27
下記疾患に伴う日中の過度の眠気
持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群
2017/09/242007/01/27

 モダフィニルの用途特許(特許1980171)は既に満了し、「下記疾患に伴う日中の過度の眠気:ナルコレプシー」について、再審査期間が2017年1月25日に終了したため、早ければ、2017年2月申請~2018年2月承認の可能性がありましたが、実際には2018年2月承認はありませんでした。
 ただ、MF登録がされているため、ジェネリックを開発している企業がある可能性はありますので、早ければ、2018年8発承認の可能性もあり得ると考えられます。
 他方、2018年8月承認の場合、「下記疾患に伴う日中の過度の眠気:持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群」の再審査期間は、2017年9月24日に終了していますが、承認時点のジェネリック医薬品の効能・効果は、「記疾患に伴う日中の過度の眠気:ナルコレプシー」のみであり、承認後、「下記疾患に伴う日中の過度の眠気:持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群」を追加が行われると考えられます。



カペシタビン(先発名:ゼローダ錠300,先発企業:中外製薬)



効能・効果再審査期間特許1951556
-物質
特許2501297
-物質
手術不能又は再発乳癌2011/04/152013/11/14
年金不納による
抹消
結腸・直腸癌2011/04/152013/11/14
胃癌2011/04/152008/11/14

 再審査期間が2011年4月15日に終了し、本来、2018年12月16日に満了するはずだったカペシタビンの物質特許(特許2501297)が、年金不能により抹消されたため、いつでもジェネリックを出せる状況です。
 2016年11月にMF登録されていることから、早ければ、2017年2月申請~2018年2月承認の可能性がありましたが、実際には2018年2月承認はありませんでした。
 年金不能による抹消からの時間を考慮すると、物質特許(特許2501297)が抹消されたことに気がつき、開発を早めたとしても2018年2月承認に間に合わせるのは困難であったと思われます。2018年2月承認からどれだけずれ込むかは不透明ではありますが、早ければ、2018年8発承認の可能性もあり得ると考えられます。



モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物(先発名:ナゾネックス点鼻液50μg56噴霧用/ナゾネックス点鼻液50μg112噴霧用,先発企業:MSD)



効能・効果再審査期間特許1988571
-物質(水和物)
特許3480736
-用途/製剤
アレルギー性鼻炎2016/07/152016/09/062019/10/31

 ナゾネックス®点鼻液を保護する用途/製剤に係る特許3480736(満了日:2019年10月31日)に対する無効審判(審判番号:2014-800055,審判請求人:東和薬品)が、特許庁で審理されていましたが、2018年1月に審決の予告がされた後、2018年2月に取下げられていました。
 東和薬品が無効審判を取下げた理由としては、次の二つが考えられます。①特許権者からライセンスを受けることを条件に、無効審判の取下げに合意した、又は、②ジェネリックの開発に失敗した/開発に遅延が生じたため、このまま無効審判を続行する意味がなくなった
 ①であれば、東和薬品が2018年8月に承認を取得する可能性が考えられます。

参考:
8月15日付医薬品承認情報 ~モメタゾン点鼻液 前編~
8月15日付医薬品承認情報 ~モメタゾン点鼻液 中編~
8月15日付医薬品承認情報 ~モメタゾン点鼻液 後編~



リセドロン酸ナトリウム水和物(先発名:アクトネル錠75mg/ベネット錠75mg,先発企業:EAファーマ/エーザイ/武田薬品工業)



効能・効果再審査期間特許1988571
-用途
特許3480736
-物質
骨粗鬆症2016/12/242010/12/122010/12/12
効能・効果特許5910698
-用途
(用法・用量)?
特許5761274
-用途
(用法・用量)?
特許5377852
-用途
(用法・用量)?
骨粗鬆症2024/09/252024/09/252024/09/25

 リセドロン酸の物質特許と用途特許(特許3480736 /特許1988571)は既に満了しています。物質特許と用途特許以外にも、特許5910698、特許5761274および特許5377852(満了日:2024年9月25日)が存在します。
 早ければ、2016年12月24日の再審査終了後の2017年2月申請~2018年2月承認となると可能性がありましたが、実際には2018年2月承認はありませでした。
 おそらく、医薬品医療機器総合機構・厚生労働省は、東和薬品が請求した無効審判の審理が行われている状況では、製造販売承認を下ろさないという判断をしたものと推測されます。
 現在も無効審判は審理中であり、8月までに審決が下りる見込みは低いため、リセドロン酸75mgのジェネリックが承認される可能性は低いのではないでしょうか。

参考
2018年2月承認予想~各品目~



2018年7月26日木曜日

ゾニサミド(トレリーフ)

 ゾニサミドのパーキンソン病に対する用途に係る特許3364481の無効審判事件(審判番号:2017-800120)の審決が下りたので、その影響を分析したいと思います。


ゾニサミドの製品情報


有効成分
一般名:ゾニサミド

効能・効果

  1. パーキンソン病(レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合)(承認時)
  2. レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズム(レボドパ含有製剤を使用してもパーキンソニズムが残存する場合)(2018年7月追加)

剤形・規格
トレリーフ®錠25mg(2009年3月薬価収載)
トレリーフ®OD錠25mg(2014年12月薬価収載)
トレリーフ®錠50mg(2017年12月薬価収載)

製造販売元
日本住友製薬



ゾニサミドの基本特許


基本特許

効能・効果再審査期間特許1307797
-物質
特許3364481
-用途
パーキンソン病(レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合)2013/01/202000/01/022023/12/21
レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズム( レボドパ含有製剤を使用してもパーキンソニズムが残存する場合)2022/07/012000/01/02?(延長期間不明)


特許3364481の内容
【請求項1】 ゾニサミドまたはそのアルカリ金属塩を有効成分とする神経変性疾患治療薬。
【請求項2】  有効成分がゾニサミドである請求項1に記載の治療薬。
【請求項3】  神経変性疾患がパーキンソン病である請求項1または2に記載の治療薬。
【請求項4】  神経変性疾患治療薬の製造のためのゾニサミドまたはそのアルカリ金属塩の使用。
【請求項5】  神経変性疾患治療薬の製造のためのゾニサミドの使用。
【請求項6】  神経変性疾患がパーキンソン病である請求項4または5に記載の使用。

 トレリーフ®の効能・効果は「パーキンソン病」ですので、特許3364481はトレリーフ®を保護しています。


無効審判事件(審判番号:2017-800120)


無効審判請求人:テバ・ホールディングス 合同会社 
事件の経過:2017年8月審判請求→2018年3月口頭審理→5月審理終結通知→6月審決
無効理由:進歩性(特許法29条2項)
結果:特許3364481を無効とすることはできない



審決の影響


 特許3364481が有効に存続し続ける限り、ジェネリックは承認されないため、テバは、特許3364481を無効にすることにより、競合他社よりも早くゾニサミド(トレリーフ®)のジェネリックの承認(2018年8月又は2019年2月承認)を取り、早く発売(2018年12月又は2019年6月薬価収載)しようとしたと考えられます。
 しかし、特許庁が特許を維持するという判断をしていますから、2018年8月承認/12月薬価収載又は2019年2月承認/6月薬価収載という可能性はないでしょう。
 審決に不服がある場合、テバは審決を取り消す旨を求めて東京高等裁判所(知的財産高等裁判所)に対して訴訟(審決取消訴訟)を提起することができます。今後、ゾニサミド(トレリーフ®)のジェネリックが承認されるためには、この審決取消訴訟において審決が取り消され、特許庁において、再度、無効審判の審理を経て、特許3364481が無効と判断される、あるいは、特許3364481の満了を待つ必要があります。ゾニサミド(トレリーフ®)のジェネリックが承認/薬価収載されるのは、早くとも2020年2月/6月、遅ければ、2024年2月/6月となると予想されます。

 今後の動向に注目していきたいと思います。