予想品目一覧
各品目
アトモキセチン塩酸塩(先発名:ストラテラカプセル5mg/ストラテラカプセル10mg/ストラテラカプセル25mg/ストラテラカプセル40mg/ストラテラ内用液0.4%,先発企業:日本イーライリリー)
日本で登録された物質特許は見当たらず、再審査期間が2017年4月21日に終了したため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性があります。
先発品にはカプセルと内用液の二種類の剤形があり、製剤特許さえ回避できれば、カプセルと内用液のジェネリックを同時に発売することも可能です。ジェネリックがカプセルと内用液の両剤形を揃えてくるのか、あるいは錠剤や細粒・顆粒といったような先発品にない剤形を開発してくるのか興味があるところです。
エレトリプタン臭化水素酸塩(先発名:レルパックス錠20mg,先発企業:ファイザー)
再審査期間が2010年4月10日に終了し、物質特許(特許2904588)が2018年6月29日に満了したため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性があります。
先発品は普通錠ですが、過去のトリプタン系のジェネリックではOD錠や内用液も発売さていますので、ジェネリックがOD錠等を開発してくるのか興味があるところです。
トラボプロスト / チモロールマレイン酸塩(先発名:デュオトラバ配合点眼液,先発企業:アルコン ファーマ/ノバルティス ファーマ)
トラボプロスト / チモロールマレイン酸塩配合点眼液のジェネリックの統一ブランド名称が、「トラチモ」と発表されていますので、ジェネリックの名称は、トラチモ配合点眼液「屋号」となると予想されます。
また、トラボプロスト単剤では、薬価収載しなかったものの、ジェネリックに先行して、サンドがAGの承認を取得しましたが、トラボプロスト / チモロールマレイン酸塩配合点眼液では、先行してAGの承認を取得しませんでした。
トラマドール塩酸塩 / アセトアミノフェン(先発名:トラムセット配合錠,先発企業:持田製薬/ヤンセンファーマ)
トラマドール塩酸塩 / アセトアミノフェンの配合特許(特許3381190)が2017年9月3日に満了し、再審査期間が2017年4月21日に終了したため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性があります。
トラマドール塩酸塩 / アセトアミノフェンのジェネリックの統一ブランド名称が、「トアラセット」と発表されていますので、ジェネリックの名称は、トアラセット配合錠「屋号」となると予想されます。
トラマドール塩酸塩有効成分と製品として、ワントラム錠100mg/トラマールOD錠25mg/トラマールOD錠50mg/トラマール注100も販売されています。ワントラム錠については、再審査期間が2019年3月まであり、少なくとも2018年8月承認の可能性はないと考えられます。トラマール錠と/トラマール注については、再審査期間/基本特許の関係からは、既にジェネリックを発売できる状態にあります。
持田製薬にはAGの前例(ジエノゲスト)があります。そのため、AGの承認を取得するのか興味があるところです。
ビマトプロスト(先発名:ルミガン点眼液0.03%,先発企業:千寿製薬/武田薬品工業)
物質特許(特許3681068)が2017年10月8日に満了し、再審査期間が2017年7月6日に終了したため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性があります。
ビマトプロストを有効成分と製品として、グラッシュビスタ外用液剤0.03%5mLも販売されていますが、再審査期間が2020年3月まであるため、少なくとも2018年8月承認の可能性はないと考えられます。
また、千寿製薬にAGの前例はありませんが、武田薬品には武田テバがあります。そのため、AGの承認を取得するのか興味があるところです。
ミルタザピン(先発名:リフレックス錠15mg/リフレックス錠30mg/レメロン錠15mg/レメロン錠30mg,先発企業:MeijiSeikaファルマ/MSD)
物質特許(特許1265274)が1996年4月2日に満了し、再審査期間が2017年7月6日に終了したため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性があります。
MeijiSeikaファルマとMSDにはそれぞれAGの前例(セフジトレンピボキシル/モンテルカストナトリウム/モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物)があります。そのため、AGの承認を取得するのか興味があるところです。
デクスメデトミジン塩酸塩(先発名:プレセデックス静注液200μg「ファイザー」/プレセデックス静注液200μg「マルイシ」/プレセデックス静注液200μg/50mLシリンジ「ファイザー」/プレセデックス静注液200μg/50mLシリンジ「マルイシ」,先発企業:ファイザー/丸石製薬)
物質特許(特許1899058)が2012年6月2日に満了し、「局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静」の再審査期間が2017年6月23日に終了したため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性があります。
「集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静」については、2019年3月31日に満了する用途特許(特許4606581)が登録されているため、承認される効能・効果は「局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静」のみと考えられます。
ファイザーにはAGの前例はないものの、丸石製薬にはAGの前例(セブフルラン)があります。そのため、AGの承認を取得するのか興味があるところです。
サルメテロールキシナホ酸塩 / フルチカゾンプロピオン酸エステル(先発名:アドエア100ディスカス28吸入用/アドエア100ディスカス60吸入用/アドエア250ディスカス28吸入用/アドエア250ディスカス60吸入用/アドエア500ディスカス28吸入用/アドエア500ディスカス60吸入用/アドエア50エアゾール120吸入用/アドエア125エアゾール120吸入用/アドエア250エアゾール120吸入,先発企業:GSK)
配合特許(特許3042867)が2015年9月7日に満了し、再審査期間が2017年4月17日に終了したため、2017年8月申請~2018年8月承認の可能性がありましたが、日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会から配合剤の統一ブランド名が発表されていないため、2018年8月承認の可能性は極めて低いと考えられます。
シロドシン(先発名:ユリーフ錠2mg/ユリーフ錠4mg/ユリーフOD錠2mg/ユリーフOD錠4mg,先発企業:キッセイ薬品/第一三共)
再審査期間が2014年1月22日に終了し、物質特許(特許2944402)が2018年12月1日に満了するため、ジェネリックは2018年2月申請~2019年2月承認と考えられます。
ここで、先発品を販売するのが第一三共であることに注目したいと思います。第一三共は、第一三共エスファを通じてAGを積極的に展開し、自社が販売するオルメテック(オルメサルタン)のAGを、ジェネリックに先行して承認・薬価収載したという前例があります。オルメサルタンと同様に、シロドシンについても先行してAGの承認を取得する可能性があるのではないでしょうか。
ゲフィチニブ(先発名:イレッサ錠250,先発企業:アストラゼネカ)
再審査期間が2010年7月4日に終了し、物質特許(特許3040486)が2018年8月24日に満了するため、ジェネリックは2018年2月申請~2019年2月承認と考えられます。
ここで、先発品を販売するのが第一三共であることに注目したいと思います。第一三共は、第一三共エスファを通じてAGを積極的に展開し、アストラゼネカと塩野義製薬が販売するクレストール(ロスバスタチン)のAGを、ジェネリックに先行して承認・薬価収載したという前例があります。また、第一三共エスファは抗がん剤のAGを展開していくこと発表しています。ロスバスタチンと同様に、ゲフィチニブについても先行してAGの承認を取得する可能性があるのではないでしょうか。
ブデソニド / ホルモテロールフマル酸塩(先発名:シムビコートタービュヘイラー30吸入/シムビコートタービュヘイラー60吸入,先発企業:アストラゼネカ/アステラス製薬)
気管支喘息について、再審査期間が既に終了し、ブデソニドとホルモテロールの配合に係る特許(特許3342484)が2017年12月7日に満了したため、早ければ2017年2月申請~2018年2月承認の可能性がありましたが、実際には2018年2月承認はありませんでした。
しかし、既に日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会から、配合剤の統一ブランド名「ブデホル」が発表されていますので、ジェネリックを開発している企業がある可能は高いと考えられます。
通常の経口剤と異なり、製剤/デバイス/同等性評価の観点から、開発が難しいと思われ、2018年2月承認からどれだけずれ込むかは不透明ではありますが、早ければ、2018年8発承認の可能性もあり得ると考えられます。
モダフィニル(先発名:モディオダール錠100mg,先発企業:アルフレッサファーマ/Cephalon/田辺三菱製薬)
モダフィニルの用途特許(特許1980171)は既に満了し、「下記疾患に伴う日中の過度の眠気:ナルコレプシー」について、再審査期間が2017年1月25日に終了したため、早ければ、2017年2月申請~2018年2月承認の可能性がありましたが、実際には2018年2月承認はありませんでした。
ただ、MF登録がされているため、ジェネリックを開発している企業がある可能性はありますので、早ければ、2018年8発承認の可能性もあり得ると考えられます。
他方、2018年8月承認の場合、「下記疾患に伴う日中の過度の眠気:持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群」の再審査期間は、2017年9月24日に終了していますが、承認時点のジェネリック医薬品の効能・効果は、「記疾患に伴う日中の過度の眠気:ナルコレプシー」のみであり、承認後、「下記疾患に伴う日中の過度の眠気:持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群」を追加が行われると考えられます。
カペシタビン(先発名:ゼローダ錠300,先発企業:中外製薬)
再審査期間が2011年4月15日に終了し、本来、2018年12月16日に満了するはずだったカペシタビンの物質特許(特許2501297)が、年金不能により抹消されたため、いつでもジェネリックを出せる状況です。
2016年11月にMF登録されていることから、早ければ、2017年2月申請~2018年2月承認の可能性がありましたが、実際には2018年2月承認はありませんでした。
年金不能による抹消からの時間を考慮すると、物質特許(特許2501297)が抹消されたことに気がつき、開発を早めたとしても2018年2月承認に間に合わせるのは困難であったと思われます。2018年2月承認からどれだけずれ込むかは不透明ではありますが、早ければ、2018年8発承認の可能性もあり得ると考えられます。
モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物(先発名:ナゾネックス点鼻液50μg56噴霧用/ナゾネックス点鼻液50μg112噴霧用,先発企業:MSD)
ナゾネックス®点鼻液を保護する用途/製剤に係る特許3480736(満了日:2019年10月31日)に対する無効審判(審判番号:2014-800055,審判請求人:東和薬品)が、特許庁で審理されていましたが、2018年1月に審決の予告がされた後、2018年2月に取下げられていました。
東和薬品が無効審判を取下げた理由としては、次の二つが考えられます。①特許権者からライセンスを受けることを条件に、無効審判の取下げに合意した、又は、②ジェネリックの開発に失敗した/開発に遅延が生じたため、このまま無効審判を続行する意味がなくなった。
①であれば、東和薬品が2018年8月に承認を取得する可能性が考えられます。
参考:
8月15日付医薬品承認情報 ~モメタゾン点鼻液 前編~
8月15日付医薬品承認情報 ~モメタゾン点鼻液 中編~
8月15日付医薬品承認情報 ~モメタゾン点鼻液 後編~
リセドロン酸ナトリウム水和物(先発名:アクトネル錠75mg/ベネット錠75mg,先発企業:EAファーマ/エーザイ/武田薬品工業)
リセドロン酸の物質特許と用途特許(特許3480736 /特許1988571)は既に満了しています。物質特許と用途特許以外にも、特許5910698、特許5761274および特許5377852(満了日:2024年9月25日)が存在します。
早ければ、2016年12月24日の再審査終了後の2017年2月申請~2018年2月承認となると可能性がありましたが、実際には2018年2月承認はありませでした。
おそらく、医薬品医療機器総合機構・厚生労働省は、東和薬品が請求した無効審判の審理が行われている状況では、製造販売承認を下ろさないという判断をしたものと推測されます。
現在も無効審判は審理中であり、8月までに審決が下りる見込みは低いため、リセドロン酸75mgのジェネリックが承認される可能性は低いのではないでしょうか。
参考
2018年2月承認予想~各品目~