2018年8月29日水曜日

2018年8月承認品目~アトモキセチン塩酸塩~

 今回は、2018年8月に承認されたアトモキセチンについて紹介したいと思います。



アトモキセチン塩酸塩の製品情報


有効成分
一般名:アトモキセチン塩酸塩
効能・効果
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
剤形・規格
ストラテラ カプセル5mg/10mg/25mg (2009年3月薬価収載)
ストラテラ カプセル40mg (2012年5月薬価収載)
ストラテラ 内用液0.4%(2013年11月薬価収載)
製造販売元
日本イーライリリー株式会社



基本特許


日本で登録された物質特許は見当たらず再審査期間が2017年4月21日に終了したため、2017年8月申請~2018年8月承認となったと考えられます。

効能・効果再審査期間
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)2017/04/21



競合関係


ストラテラ カプセル/内用液の後発医薬品として、7社30製品が承認されました。先発品と同じカプセル剤は、沢井製薬、日医工及びファイザーの3社12製品が承認され、内用液は、東和薬品及びニプロの2社2製品が承認されています。また、先発品にはない錠剤として、高田製薬、東和薬品、ジェイドルフ製薬(第一三共エスファ)及びニプロの4社16製品が承認されています。

 現在公開されている情報に基づき、各社の競合関係を分析したところ、以下のような結果が得られました。


 錠剤4社16製品中、3社が共同開発ですので、実質的には2社8製品、内用液2社2製品も共同開発ですので、実質的には1社1製品ということになります。一方、カプセル剤3社12製品は、40mgカプセルのみ、沢井製薬と日医工の共同開発ですので、実質的には3社11製品ということになります。



製品比較


各社の添加剤・サイズ・色を比較したところ、以下のような結果が得られました。


販売名添加剤カプセルサイズ
ストラテラ カプセル5mg
部分アルファー化デンプン
ジメチルポリシロキサン
3橙色
ストラテラ カプセル10mg3白色
ストラテラ カプセル25mg3青色/白色
ストラテラ カプセル40mg3青色
アトモキセチンカプセル5mg「サワイ」
部分アルファー化デンプン
ジメチルポリシロキサン
5橙色
アトモキセチンカプセル10mg「サワイ」5白色
アトモキセチンカプセル25mg「サワイ」5青色/白色
アトモキセチンカプセル40mg「サワイ」3青色
アトモキセチンカプセル25mg「サワイ」
部分アルファー化デンプン
ジメチルポリシロキサン
3橙色
アトモキセチンカプセル5mg「日医工」3白色
アトモキセチンカプセル10mg「日医工」3青色/白色
アトモキセチンカセル25mg「日医工」3青色
アトモキセチンカプセル5mg「ファイザー」
結晶セルロース
部分アルファー化デンプン
軽質無水ケイ酸
ステアリン酸マグネシウム
5橙色
アトモキセチンカプセル10mg「ファイザー」3白色
アトモキセチンカプセル25mg「ファイザー」3青色/白色
アトモキセチンカプセル40mg「ファイザー」3青色


販売名添加剤錠剤サイズ
アトモキセチン錠5mg「タカタ」
D-マンニトール
結晶セルロース
軽質無水ケイ酸
デンプングリコール酸ナトリウム
グリセリン脂肪酸エステル
ステアリン酸マグネシウム
ヒプロメロース
酸化チタン
タルク
カルナウバロウ
黄色三二酸化鉄(10mg)
三二酸化鉄(25mg)
5.6x3淡黄色
アトモキセチン錠10mg「タカタ」7x3.6白色
アトモキセチン錠25mg「タカタ」8x3.7ごくうすい赤色
アトモキセチン錠40mg「タカタ」12.7x6x4.5 (楕円)白色
アトモキセチン錠5mg「DSEP」
部分アルファー化デンプン
軽質無水ケイ酸
ステアリン酸マグネシウム
ヒプロメロース
酸化チタン
ヒドロキシプロピルセルロース
タルク
その他2成分
5.1x2.8
白色
アトモキセチン錠5mg「トーワ」
アトモキセチン錠5mg「ニプロ」
アトモキセチン錠10mg「DSEP」
6.6x3.3
アトモキセチン錠10mg「トーワ」
アトモキセチン錠10mg「ニプロ」
アトモキセチン錠25mg「DSEP」
7.6x3.1
アトモキセチン錠25mg「トーワ」
アトモキセチン錠25mg「ニプロ」
アトモキセチン錠40mg「DSEP」
8.6x3.7
アトモキセチン錠40mg「トーワ」
アトモキセチン錠40mg「ニプロ」


販売名添加剤フレーバー使用期限
ストラテラ内用液0.4%安息香酸ナトリウム
リン酸二水素ナトリウム
リン酸
D-ソルビトール液
キシリトール
香料
エチルバニリン
バニリン
プロピレングリコール
スクラロース
水酸化ナトリウム
ラズベリー2年
アトモキセチン内用液0.4%「トーワ」
安息香酸ナトリウム
リン酸二水素ナトリウム
リン酸
D‐ソルビトール液
キシリトール
香料
プロピレングリコール
スクラロース
水酸化ナトリウム
グレープ
3年
アトモキセチン内用液0.4%「ニプロ」

 先発にない剤形の錠剤では、錠剤化することで差別化を図り、加えて、それぞれ添加剤・形・サイズ・色に特色が見られます。先発と同じカプセル剤では、先発と添加剤・サイズ・色を合わせた日医工、先発よりも小型化を図った沢井、先発と異なる添加剤を使用したファイザー(Mylan)とそれぞれ特色が認められます。内用液では、製剤特許(5973073)が登録されているため、先発とフレーバーが異なるものの、使用されている添加剤は似ており、先発の使用期限が2年であるのに対し、ジェネリックの使用期限は3年に延びているという特徴があります。
 それぞれに特色があるため、どの製剤が市場で受け入れられるのかが注目です。

 次回は、エレトリプタンについて、分析したいと思います。

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