今回は、2018年8月に承認されたエレトリプタンについて紹介したいと思います。
エレトリプタン臭化水素酸塩の製品情報
有効成分
一般名:エレトリプタン臭化水素酸塩
効能・効果
片頭痛
剤形・規格
レルパックス錠25mg (2002年6月薬価収載)
製造販売元
ファイザー株式会社
基本特許
再審査期間が2010年4月10日に終了し
、物質特許(特許2904588)が2018年6月29日に満了したため、
2017年8月申請~2018年8月承認となったと考えられます。
効能・効果 | 再審査期間 | 特許2904588 -物質 |
片頭痛 | 2010/04/10 | 2018/06/29 |
競合関係
レルパックスの後発医薬品として、
8社8製品が承認されました。
先発品と同じフィルムコーティング錠は、日医工、サンド、東和薬品、辰巳化学、日新製薬、陽進堂、第一三共エスファの7社7製品が承認され、
先発品にはないOD錠として、共和薬品工業の1社1製品が承認されています。
現在公開されている情報に基づき、各社の競合関係を分析したところ、以下のような結果が得られました。
サンド、東和薬品及び辰巳化学、日新製薬、陽進堂及び第一三共エスファが、それぞれ共同開発ですので、単独の日医工と共和薬品工業を含めると、
実質的には4社4製品ということになります。
OD錠を出してきたのが、東和薬品ではなく共和薬品工業だったというのが、少々、意外でした。共和薬品工業は中枢神経系用薬に強いというイメージがあるものの、エレトリプタンは中枢神経系のお薬ではないように思います。また、他のトリプタン系のジェネリックについて調べてみたところ、先発の剤形にOD錠がないのにジェネリックがOD錠を開発したという前例はありませんでした。
販売名 |
レルパックス錠20mg |
エレトリプタン錠20mg「サンド」 |
エレトリプタン錠20mg「トーワ」 |
エレトリプタン錠20mg「日医工」 |
エレトリプタン錠20mg「日新」 |
エレトリプタン錠20mg「DSEP」 |
エレトリプタン錠20mg「TCK」 |
エレトリプタン錠20mg「YD」 |
エレトリプタンOD錠20mg「アメル」 |
イミグラン錠50 |
スマトリプタン錠50mg「アスペン」 |
スマトリプタン錠50mg「アメル」 |
スマトリプタン錠50mg「タカタ」/スマトリプタン内用液50mg「タカタ」 |
スマトリプタン錠50mg「トーワ」 |
スマトリプタン錠50mg「日医工」 |
スマトリプタン錠50mg「マイラン」 |
スマトリプタン錠50mg「DK」 |
スマトリプタン錠50mg「F」 |
スマトリプタン錠50mg「FFP」 |
スマトリプタン錠50mg「JG」 |
スマトリプタン錠50mg「SN」 |
スマトリプタン錠50mg「TCK」 |
スマトリプタン錠50mg「YD」 |
ゾーミッグRM錠2.5mg |
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「アメル」 |
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「タカタ」 |
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「トーワ」 |
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「日医工」 |
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「日新」 |
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「ファイザー」 |
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「JG」 |
マクサルト錠10mg/マクサルトRPD錠10mg |
リザトリプタンOD錠10mg「アメル」 |
リザトリプタンOD錠10mg「トーワ」 |
リザトリプタンOD錠10mg「ファイザー」 |
リザトリプタンOD錠10mg「TCK」 |
製品比較
各社の添加剤・サイズ・色を比較したところ、以下のような結果が得られました。
販売名 | 添加剤 | 錠剤サイズ | 色 |
レルパックス錠20mg | 結晶セルロース 乳糖水和物 クロスカルメロースナトリウム ステアリン酸マグネシウム ヒプロメロース 酸化チタン トリアセチン 黄色 5 号 | 6.3x3.0 | だいだい色 |
エレトリプタン錠20mg「日医工」 | 結晶セルロース 乳糖水和物 クロスカルメロースナトリウム ステアリン酸マグネシウム ヒプロメロース 酸化チタン トリアセチン 黄色 5 号アルミニウムレーキ カルナウバロウ | 6.3x3.2 | だいだい色 |
エレトリプタン錠20mg「サンド」 |
結晶セルロース 乳糖水和物 クロスカルメロースナトリウム ステアリン酸マグネシウム ヒプロメロース 酸化チタン トリアセチン 黄色 5 号アルミニウムレーキ カルナウバロウ
|
6.6x3.1
|
だいだい色
|
エレトリプタン錠20mg「トーワ」 |
エレトリプタン錠20mg「TCK」 |
エレトリプタン錠20mg「日新」 |
結晶セルロース 乳糖水和物 クロスカルメロースナトリウム ステアリン酸マグネシウム ヒプロメロース 酸化チタン トリアセチン 黄色 5 号 カルナウバロウ
|
6.1x3.2
|
だいだい色
|
エレトリプタン錠20mg「YD」 |
エレトリプタン錠20mg「DSEP」 |
エレトリプタンOD錠20mg「アメル」 | クロスカルメロースナトリウム スクラロース 黄色三二酸化鉄 D-マンニトール D-マンニトール・カルメロー ス・結晶セルロース・クロスポビドン混合物 香料 ステアリン酸マグネシウム | 8.0x2.9 | 淡黄色 |
共和薬品工業のOD錠以外、各社とも先発と添加剤・サイズ・色がとてもよく似ています。ざっと調べた限り、
先発品の製剤設計を保護する存続中の特許は見当たりませんでしたので、各社、先発と同じ添加剤を用いていることができたと推測されます。
次回はカペシタビンについて分析してみたいと思います。