2019年3月1日金曜日

2019年2月承認品目~ブデホル~

 今回は、2019年2月に承認されたシムビコートのジェネリックであるブデホルについて紹介したいと思います。


シムビコートの製品情報

有効成分
一般名:ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物
効能・効果
気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
剤形・規格
シムビコートタービュヘイラー30吸入(2009年12月薬価収載)
シムビコートタービュヘイラー60吸入(2009年12月薬価収載)
製造販売元/発売元
アストラゼネカ株式会社/アステラス製薬株式会社




基本特許

効能・効果再審査期間特許3342484
-配合
気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
1) 本剤を維持療法として使用する場合
2015/10/152017/12/07
気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
2) 本剤を維持療法に加えて頓用吸入としても使用する場合
2016/06/212017/12/07
慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)2016/08/092012/12/07




承認された製品


 2019年2月に承認されたのは、下表の3社6製品でした。
承認番号販売名有効成分名業者名
23100AMX00130000ブデホル吸入粉末剤30吸入「JG」ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物日本ジェネリック
23100AMX00131000ブデホル吸入粉末剤60吸入「JG」ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物日本ジェネリック
23100AMX00132000ブデホル吸入粉末剤30吸入「MYL」ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物東亜薬品
23100AMX00133000ブデホル吸入粉末剤60吸入「MYL」ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物東亜薬品
23100AMX00134000ブデホル吸入粉末剤30吸入「ニプロ」ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物ニプロ
23100AMX00135000ブデホル吸入粉末剤60吸入「ニプロ」ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物ニプロ

 気管支喘息について、再審査期間が既に終了し、ブデソニドとホルモテロールの配合に係る特許(特許3342484)が2017年12月7日に満了したため、早ければ2017年2月申請~2018年2月承認の可能性がありましたが、1年ずれ込み、今回、初めてジェネリックが承認されました。
 予想では、ブデホルの承認に言及していたので、一応、予想は当たっていたかと思います。




共同開発の親会社は?

 
 日刊薬業の記事によると、日本ジェネリック・東亜薬品・ニプロの3社は共同開発の関係にあるようです。
 これら3社のうち、どの会社が共同開発の親会社なのでしょうか?
 まずは特許出願を調べてみました。J-PlatPatを使用し、“全文[粉末and 吸入] and 出願人[日本ジェネリック or 東亜薬品 or ニプロ]”で検索しましたが、目ぼしい出願は見つかりませんでした。
 次に登録意匠を調べてみました。“意匠に係る物品[吸入器] and 出願人[日本ジェネリック or 東亜薬品 or ニプロ]”で検索したところ、東亜薬品とニプロが権利者である意匠登録1603337意匠登録1603015がヒットしてきました。いずれもタービュヘイラーの外観と似ています。
 更に、Web上で他に何か情報が得られないか検索したところ、東亜薬品が粉末吸入製剤の製剤専用工場を設立していること粉末吸入製剤のジェネリックを開発していることがわかりました。
 これらを考慮すると、東亜薬品が共同開発の親会社である可能性が高いと思われます。




6月に薬価収載されるのか?

 
 日刊薬業の記事によると、日刊薬業の取材に対し、日本ジェネリックは「6月収載見送り」東亜薬品とニプロは「回答できない」と回答しているそうです。
 通知:医政経発0213第1号によると、2019年6月薬価基準収載をする場合、2月26日(火)までに薬価基準収載希望を提出する必要があり、“収載希望書を提出する場合は、収載希望品目の薬価基準収載の必要性等について十分検討した上で、薬価基準収載後、3ヶ月以内に安定供給を継続的に実施できる見通しが立っている品目のみとすること”とされています。
 日本ジェネリックは、何らかの理由により、安定供給を継続的に実施できないという判断し、6月収載を見送ったと推測されます。その理由が、特許、意匠、不正競争防止法にあるのか、それとも、製剤やAPIの製造にあるのかはわかりませんが、やはり理由が気になるところです。また、東亜薬品とニプロが6月収載をするのかも注目されます。




その他


 各社の製品の屋号を見てみると、日本ジェネリックは「JG」、東亜薬品は「MYL」、ニプロは「ニプロ」です。これまで「MYL」という屋号をあまり見たことがなかったため、PMDAのHPで添付文書を検索したところ、「MYL」はマイランEPD合同会社の屋号だとわかりました。
 マイランは、ファイザーとの業務提携により、ファイザーを通じてジェネリックを販売するというイメージが強かったのですが、マイランEPD合同会社を通してジェネリックを販売するというスキームもあり得るということを初めて知りました。


 次回はオキシコドン塩酸塩水和物(注)について分析してみたいと思います。