アプレピタントの製品情報
有効成分
一般名:アプレビタント
効能・効果
抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)
剤形・規格
イメンド®カプセル125mg(2009年12月薬価収載)
イメンド®カプセル80mg(2009年12月薬価収載)
イメンド®カプセルセット(2009年12月薬価収載)
製造販売元
製造販売/小野薬品工業株式会社
アプレピタントの基本特許
物質特許(特許3245424)が年金未納により2016年10月に消滅し、再審査期間が2017年10月15日に終了したため、早ければ、2018年2月申請~2019年2月承認の可能性がありましたが、半年後の2019年8月承認となりました。これは、年金未納による抹消からの時間を考慮すると、物質特許が抹消されたことに気がつき、開発を早めたとしても2018年2月申請に間に合わせるのは困難であったためと考えられます。
また、沢井製薬と日本化薬の2社が承認を取得していますが、添付文書の内容から、2社の製品は共同開発であり、実質、1種類のジェネリックということになります。
製剤特許
イメンド®カプセルとアプレピタントカプセル「サワイ」・「NK」の添加剤を比較すると、若干、異なりますが、よく似ています。
一方、イメンド®カプセルを保護する製剤特許(特許4532114)が登録されており、2022年12月まで存続します。特許4532114の内容は以下の通りです。
【請求項1】
138nm以下の有効平均粒子サイズを維持するために十分な量の少なくとも1つの表面安定化剤をその表面に吸着している化合物2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロ)フェニル−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチルモルホリンまたはその医薬適合性の塩を含むナノ粒子組成物であって、表面安定化剤が超低粘度ヒドロキシプロピルセルロースまたはラウリル硫酸ナトリウムである前記組成物。
アプレピタントカプセル「サワイ」・「NK」は、特許4532114に記載されたとラウリル硫酸ナトリウムを含みます(ヒドロキシプロピルセルロースも含みますが、超低粘度かは不明)。沢井製薬と日本化薬は、添加剤の種類以外、例えば、平均粒子サイズで、特許4532114を回避しているものと思われます。
最後に
物質特許(特許3245424)が有効に存続していた場合、ジェネリックは2020年2月承認・6月薬価収載というスケジュールでした。年金未納により物質特許を失ったことにより、6ヶ月早くジェネリックの参入を許してしまったことになります。小野薬品工業のIR資料によると、2018年度のイメンド®とプロイメンド®の合計の売上は、106億円です。各製品の内訳は不明ですが、2020年の薬価改定を考慮すると、6ヶ月早いジェネリックの参入による影響は、それなりに大きいのではないでしょうか。
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