2020年1月24日金曜日

2020年2月承認予想

もう1月の下旬ですが、2020年最初のブログ更新です。
今回は、再審査期間/特許/MF登録の状況を用い、2020年6月の薬価追補収載に向けて2月に承認されるジェネリック医薬品を予想してみました。


予想品目一覧


有効成分先発名先発企業再審査期間特許2020年2月Note
イミダフェナシンウリトス錠/OD錠
ステーブラ錠/OD錠
杏林製薬
小野薬品工業
2015/4/172019/11/29AG承認済
エゼチミブゼチーア錠MSD
バイエル薬品
2015/4/172019/9/14AG承認済
ガランタミン臭化水素酸塩レミニール錠/OD錠武田薬品工業
ヤンセン
2019/1/202007/1/10AGの可能性?
セレコキシブセレコックス錠アステラス製薬
ファイザー
2015/1/252019/11/14審決取消訴訟で特許有効の審決が取消
タダラフィルザルティア錠日本新薬
日本イーライリリー
2018/1/162020/1/19
デュタステリドアボルブカプセルGSK2017/7/62019/9/16
バゼドキシフェン酢酸塩ビビアント錠ファイザー2018/7/222019/8/26
プソイドエフェドリン塩酸塩ディレグラ配合錠サノフィ2018/12/242013/8/3統一名称あり
AGの可能性?
メマンチン塩酸塩メマリー錠/OD錠/ドライシロップ第一三共
メルツ
2019/1/20-AGの可能性?
モキシフロキサシン塩酸塩ベガモックス点眼液ノバルティス2013/10/102019/9/29AGの可能性?
レパグリニドシュアポスト錠大日本住友製薬
ノボ ノルディスク
2019/1/202016/6/21AGの可能性?
レボセチリジン塩酸塩ザイザル錠/シロップGSK2018/10/262007/2/5
エルデカルシトールエディロールカプセル中外製薬
大正製薬
2019/1/202005/12/5
or
2030/4/28
特許5969161の影響は?
クロピドグレル硫酸塩/アスピリンコンプラビン配合錠サノフィ2014/1/222020/8/6AGの可能性?
AG以外は8月承認
ピルフェニドンピレスパ錠塩野義製薬2018/10/152014/2/15特許5175740の影響は?
エムトリシタビン/
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
ツルバダ配合錠ギリアド・サイエンシズ2015/3/222018/7/23
or
2024/1/13
特許4996241に対し共和薬品工業が無効審判請求⇒取下
テリパラチド酢酸塩テリボン皮下注用
テリボン皮下注オートインジェクター
旭化成ファーマ2017/9/25
NA
-AG承認済
無効審判係属中
プレガバリンリリカカプセル/OD錠ファイザー
エーザイ
2018/4/152022/7/16無効審判係属中
イベルメクチンストロメクトール錠マルホ
MSD
2012/10/72002/10/23
エピネフリンエピペン注射液マイランEPDNA-
ガニレリクス酢酸塩ガニレスト皮下注MSD2016/7/152008/2/4
クロザピンクロザリル錠ノバルティス ファーマ2017/4/211993/4/3
トピラマートトピナ細粒/錠協和キリン2015/7/302004/9/25
トブラマイシン硫酸塩トービイ吸入液マイランEPD2018/9/27-
ナラトリプタン塩酸塩アマージ錠GSK2016/1/242013/8/12
バクロフェンギャバロン髄注第一三共
メドトロニック社
2015/4/10-
ファスジル塩酸塩水和物エリル点滴静注液旭化成ファーマ2001/6/29-AG承認済
ブスルファンブスルフェクス点滴静注用大塚製薬2016/7/25-
モキシフロキサシン塩酸塩アベロックス錠バイエル薬品2013/10/102014/7/1
モダフィニルモディオダール錠アルフレッサ
Cephalon
田辺三菱製薬
2017/1/25-
ルリコナゾールルリコンクリーム/液/ 軟膏サンファーマ2013/4/102016/7/8謹告後、承認なし
タダラフィルシアリス錠日本新薬
日本イーライリリー
2015/7/302020/4/26番外無効審判⇒認容審決
バルデナフィル塩酸塩水和物レビトラ錠バイエル薬品2012/4/222020/5/18番外
〇:8月承認、△:8月承認でない可能性あり、▲:8月承認の可能性低、番外:薬価未収載品

前回の2019年8月承認と比べると、比較的、大型品が多いように見えます。2月17日(月)に一斉に承認されると思いますので、承認簿の公表後、答え合わせをしてみたいと思います。

2019年10月31日木曜日

2019年8月15日付医薬品承認情報~ミカファンギン~

 今回は、2019年8月15日付で承認されたミカファンギンNa点滴静注用について取り上げてみたいと思います。



ミカファンギンの製品情報


有効成分
一般名:ミカファンギンナトリウム
効能・効果
・アスペルギルス属及びカンジダ属による下記感染症
 真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症
・造血幹細胞移植患者におけるアスペルギルス症及びカンジダ症の予防
剤形・規格
ファンガード®点滴用25mg(2006年6月薬価収載)
ファンガード®点滴用50mg(2002年12月薬価収載)
ファンガード®点滴用75mg(2002年12月薬価収載)
製造販売元
製造販売/アステラス製薬株式会社



ミカファンギンの基本特許


効能・効果
再審査期間
特許2897427特許3381722特許4691866
物質特許製剤特許製剤特許
アスペルギルス属及びカンジダ属による下記感染症
真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症
2010/10/72019/4/232020/6/292020/6/29
造血幹細胞移植患者におけるアスペルギルス症及びカンジダ症の予防2011/1/252020/9/292024/8/32020/6/29

 再審査期間が2010年10月に終了し、物質特許(特許2897427)が2019年4月に満了しため、2018年8月申請~2019年8月承認となりました。
 承認されたのは、沢井製薬のミカファンギNa点滴静注用50mg「サワイ」/ミカファンギンNa点滴静注用75mg「サワイ」のみですが、ファンガード®と使用されている添加剤が異なるため(乳糖水和物とトレハロース水和物)、オーソライズド・ジェネリック(AG)ではないと考えられます。
 また、「造血幹細胞移植患者におけるアスペルギルス症及びカンジダ症の予防」については、物質特許が2020年9月まで延長されていますので、沢井製薬のミカファンギNa点滴静注用50mg「サワイ」/ミカファンギンNa点滴静注用75mg「サワイ」の効能・効果は、「アスペルギルス属及びカンジダ属による下記感染症(真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症)」のみでした。




先発企業の製剤特許


 基本特許以外にファンガード®を保護する製剤特許として、特許3381722が登録されており、2024年8月まで存続します。また、特許3381722から分割された特許4691866も登録されています。
 特許3381722の内容は、「活性成分として式(I)の環状ポリペプチド化合物(⇒ミカファンギン)またはその医薬的に許容される塩および乳糖を含有する安定化された凍結乾燥型医薬組成物」で、ジェネリックは添加剤に乳糖を使用することが制限されます。
 特許4691866の内容は、「活性成分として式(II):の環状ポリペプチド化合物(⇒ミカファンギン)またはその医薬的に許容される塩、ならびにマルトース、ショ糖および塩化ナトリウムからなる群から選択される1以上の安定化剤からなる安定化された凍結乾燥型医薬組成物」で、ジェネリックは添加剤にマルトース、ショ糖、塩化ナトリウムを使用することが制限されます。
 沢井製薬は、これらの製剤特許を回避するために、これらの特許でクレームされていないトレハロースを添加剤として使用した製剤を開発したと考えられます。実際、沢井製薬のホームページでは、「特許を回避して製剤化を実現」と謳っています。




先発企業以外の製剤特許


 ここで一つ気になることがあります。それは、沢井製薬のミカファンギNa点滴静注用「サワイ」とシャンハイ テックウェル バイオファーマシューティカルとの関係です。
 シャンハイ テックウェル バイオファーマシューティカルは特許5723030を保有し、その内容は、「a)薬学的有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩(⇒ミカファンギン)と、b)薬学的許容量の安定化剤であるトレハロースとを含み、前記安定化剤であるトレハロースと式(I)の化合物又はその塩との重量比は100:1〜1:20であり、凍結乾燥製剤であることを特徴とする、抗真菌用の薬用組成物」です。
 ミカファンギNa点滴静注用「サワイ」は、200mgのトレハロース水和物を含みますので、トレハロース:ミカファンギンの比は、4:1(50mg製剤)と2.7:1(75mg製剤)であり、ミカファンギNa点滴静注用「サワイ」と特許5723030との関連が疑われます
 ①沢井製薬の製剤はシャンハイ テックウェル バイオファーマシューティカルから製造・供給されているのか、②沢井製薬はシャンハイ テックウェル バイオファーマシューティカルから特許5723030のライセンスを受けているのか、それとも、③両社には関係はなく、係争に発展した場合、争う用意があるのか、沢井製薬とシャンハイ テックウェル バイオファーマシューティカルとの関係がとても気になります

2019年10月28日月曜日

2019年8月15日付医薬品承認情報~ブデソニド~

 今回は、2019年8月15日付で承認されたブデソニド吸入液について取り上げてみたいと思います。



ブデソニドの製品情報


有効成分
一般名:ブデソニド
効能・効果
気管支喘息
剤形・規格
パルミコート®吸入液0.25mg(2006年9月薬価収載)
パルミコート®吸入液0.5mg(2006年9月薬価収載)
製造販売元
製造販売/アストラゼネカ株式会社



ブデソニドの基本特許


効能・効果
再審査期間
特許1033476
製法特許
気管支喘息2010/7/6満了済

 日本で登録された物質特許は見当たらず、再審査期間も2010年7月に終了したため、いつでもジェネリックを出せる状況でしたが、今回が初めてのジェネリック承認となりました。
 承認されたのは、武田テバファーマのブデソニド吸入液0.25mg「武田テバ」/ブデソニド吸入液0.5mg「武田テバ」のみですが、添付文書によると、パルミコート®とは容器の形状、添加剤(クエン酸水和物と無水クエン酸)や保存期間が異なるようですので、AGではないと考えられます。
 ところで、吸入液の場合、生物学的同等性はどのように示しているのかが気になりました。過去、インタール®吸入液のジェネリックでは、動物を用いた試験を実施しているようですが、HPで公開されたブデソニド吸入液「武田テバ」の添付文書にはそのような記載が見当たりません。今後、インタビューフォーム等が公開されると思うので、生物学的同等性をどのように示しているのか確認してみたいと思います。

2019年10月24日木曜日

2019年8月15日付医薬品承認情報~ガンシクロビル~

 今回は、2019年8月15日付で承認されたガンシクロビル点滴静注用について取り上げてみたいと思います。




ガンシクロビルの製品情報


有効成分
一般名:ガンシクロビル
効能・効果
下記におけるサイトメガロウイルス感染症
・後天性免疫不全症候群
・臓器移植(造血幹細胞移植も含む)
・悪性腫瘍
剤形・規格
デノシン®点滴静注用500mg(1990年5月薬価収載(点滴静注用デノシンとして))
製造販売元
製造販売/田辺三菱製薬株式会社




ガンシクロビルの基本特許


効能・効果
再審査期間
特許1721035
物質特許
下記におけるサイトメガロウイルス感染症
・後天性免疫不全症候群
・臓器移植(造血幹細胞移植も含む)
・悪性腫瘍
2000/03/292002/05/20

 再審査期間は2002年3月に終了し、物質特許(特許1721035)も2002年5月に満了していたため、いつでもジェネリックを出せる状況でしたが、今回が初めてのジェネリック承認となりました。
 承認されたのは、マイラン製薬のガンシクロビル点滴静注用500mg「ファイザー」のみですが、デノシン®とは「性状」と「浸透圧比」が異なるため、オーソライズド・ジェネリック(AG)ではないと考えられます。
 2019年2月承認では屋号「ファイザー」の製品はありませんでしたので、2019年で唯一つの屋号「ファイザー」のジェネリックです。
 
 ところで、7月末、「ファイザー、特許切れ医薬品事業をマイランと統合する計画」というビックニュースがありました。今後、日本ではどのような事業展開になるのかが気になります。MylanのHPに掲載されているInvestor Presentationによれば、2020年中旬にディールをクローズさせる予定であり、その前に新しい社名がアナウンスされるそうです。現在、販売中の屋号「ファイザー」というジェネリックは、どうなるのでしょう。新会社へ承継され、新しい屋号に変更されるのでしょうか?この機に乗じた複数の製品の販売中止がないことを期待します。

2019年10月23日水曜日

2019年8月15日付医薬品承認情報~アプレピタント~

 今回は、2019年8月15日付で承認されたアプレピタントについて取り上げてみたいと思います。



アプレピタントの製品情報


有効成分
一般名:アプレビタント
効能・効果
抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)
剤形・規格
イメンド®カプセル125mg(2009年12月薬価収載)
イメンド®カプセル80mg(2009年12月薬価収載)
イメンド®カプセルセット(2009年12月薬価収載)
製造販売元
製造販売/小野薬品工業株式会社




アプレピタントの基本特許


効能・効果
再審査期間
特許3245424特許4532114
物質特許製剤特許
現満了日:2014/12/13現満了日:2022/12/09
抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)2017/10/152019/12/13
⇒年金未納で抹消!
2022/12/09

 物質特許(特許3245424)が年金未納により2016年10月に消滅し、再審査期間が2017年10月15日に終了したため、早ければ、2018年2月申請~2019年2月承認の可能性がありましたが、半年後の2019年8月承認となりました。これは、年金未納による抹消からの時間を考慮すると、物質特許が抹消されたことに気がつき、開発を早めたとしても2018年2月申請に間に合わせるのは困難であったためと考えられます。
また、沢井製薬と日本化薬の2社が承認を取得していますが、添付文書の内容から、2社の製品は共同開発であり、実質、1種類のジェネリックということになります。




製剤特許


 イメンド®カプセルとアプレピタントカプセル「サワイ」・「NK」の添加剤を比較すると、若干、異なりますが、よく似ています。

イメンドジェネリック
カプセル内容物ヒドロキシプロピルセルロース
ラウリル硫酸ナトリウム
精製白糖
結晶セルロース
ヒドロキシプロピルセルロース、
ラウリル硫酸ナトリウム、
白糖、
結晶セルロース
カプセルゼラチン
ラウリル硫酸ナトリウ ム
(三二酸化鉄)
(黄色三二酸化鉄)
酸化チタン
ゼラチン、
ラウリル硫酸ナトリウ ム、
(三二酸化鉄)
酸化チタン

 一方、イメンド®カプセルを保護する製剤特許(特許4532114)が登録されており、2022年12月まで存続します。特許4532114の内容は以下の通りです。

【請求項1】
138nm以下の有効平均粒子サイズを維持するために十分な量の少なくとも1つの表面安定化剤をその表面に吸着している化合物2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロ)フェニル−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチルモルホリンまたはその医薬適合性の塩を含むナノ粒子組成物であって、表面安定化剤が超低粘度ヒドロキシプロピルセルロースまたはラウリル硫酸ナトリウムである前記組成物。

 アプレピタントカプセル「サワイ」・「NK」は、特許4532114に記載されたとラウリル硫酸ナトリウムを含みます(ヒドロキシプロピルセルロースも含みますが、超低粘度かは不明)。沢井製薬と日本化薬は、添加剤の種類以外、例えば、平均粒子サイズで、特許4532114を回避しているものと思われます。




最後に

物質特許(特許3245424)が有効に存続していた場合、ジェネリックは2020年2月承認・6月薬価収載というスケジュールでした。年金未納により物質特許を失ったことにより、6ヶ月早くジェネリックの参入を許してしまったことになります。
 小野薬品工業のIR資料によると、2018年度のイメンド®とプロイメンド®の合計の売上は、106億円です。各製品の内訳は不明ですが、2020年の薬価改定を考慮すると、6ヶ月早いジェネリックの参入による影響は、それなりに大きいのではないでしょうか。