2018年7月26日木曜日

ゾニサミド(トレリーフ)

 ゾニサミドのパーキンソン病に対する用途に係る特許3364481の無効審判事件(審判番号:2017-800120)の審決が下りたので、その影響を分析したいと思います。


ゾニサミドの製品情報


有効成分
一般名:ゾニサミド

効能・効果

  1. パーキンソン病(レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合)(承認時)
  2. レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズム(レボドパ含有製剤を使用してもパーキンソニズムが残存する場合)(2018年7月追加)

剤形・規格
トレリーフ®錠25mg(2009年3月薬価収載)
トレリーフ®OD錠25mg(2014年12月薬価収載)
トレリーフ®錠50mg(2017年12月薬価収載)

製造販売元
日本住友製薬



ゾニサミドの基本特許


基本特許

効能・効果再審査期間特許1307797
-物質
特許3364481
-用途
パーキンソン病(レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合)2013/01/202000/01/022023/12/21
レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズム( レボドパ含有製剤を使用してもパーキンソニズムが残存する場合)2022/07/012000/01/02?(延長期間不明)


特許3364481の内容
【請求項1】 ゾニサミドまたはそのアルカリ金属塩を有効成分とする神経変性疾患治療薬。
【請求項2】  有効成分がゾニサミドである請求項1に記載の治療薬。
【請求項3】  神経変性疾患がパーキンソン病である請求項1または2に記載の治療薬。
【請求項4】  神経変性疾患治療薬の製造のためのゾニサミドまたはそのアルカリ金属塩の使用。
【請求項5】  神経変性疾患治療薬の製造のためのゾニサミドの使用。
【請求項6】  神経変性疾患がパーキンソン病である請求項4または5に記載の使用。

 トレリーフ®の効能・効果は「パーキンソン病」ですので、特許3364481はトレリーフ®を保護しています。


無効審判事件(審判番号:2017-800120)


無効審判請求人:テバ・ホールディングス 合同会社 
事件の経過:2017年8月審判請求→2018年3月口頭審理→5月審理終結通知→6月審決
無効理由:進歩性(特許法29条2項)
結果:特許3364481を無効とすることはできない



審決の影響


 特許3364481が有効に存続し続ける限り、ジェネリックは承認されないため、テバは、特許3364481を無効にすることにより、競合他社よりも早くゾニサミド(トレリーフ®)のジェネリックの承認(2018年8月又は2019年2月承認)を取り、早く発売(2018年12月又は2019年6月薬価収載)しようとしたと考えられます。
 しかし、特許庁が特許を維持するという判断をしていますから、2018年8月承認/12月薬価収載又は2019年2月承認/6月薬価収載という可能性はないでしょう。
 審決に不服がある場合、テバは審決を取り消す旨を求めて東京高等裁判所(知的財産高等裁判所)に対して訴訟(審決取消訴訟)を提起することができます。今後、ゾニサミド(トレリーフ®)のジェネリックが承認されるためには、この審決取消訴訟において審決が取り消され、特許庁において、再度、無効審判の審理を経て、特許3364481が無効と判断される、あるいは、特許3364481の満了を待つ必要があります。ゾニサミド(トレリーフ®)のジェネリックが承認/薬価収載されるのは、早くとも2020年2月/6月、遅ければ、2024年2月/6月となると予想されます。

 今後の動向に注目していきたいと思います。



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