今回は、2018年8月に承認されたアトモキセチンについて紹介したいと思います。
アトモキセチン塩酸塩の製品情報
有効成分
一般名:アトモキセチン塩酸塩
効能・効果
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
剤形・規格
ストラテラ カプセル5mg/10mg/25mg (2009年3月薬価収載)
ストラテラ カプセル40mg (2012年5月薬価収載)
ストラテラ 内用液0.4%(2013年11月薬価収載)
製造販売元
日本イーライリリー株式会社
基本特許
日本で登録された
物質特許は見当たらず、
再審査期間が2017年4月21日に終了したため、2
017年8月申請~2018年8月承認となったと考えられます。
効能・効果 | 再審査期間 |
注意欠陥/多動性障害(AD/HD) | 2017/04/21 |
競合関係
ストラテラ カプセル/内用液の後発医薬品として、
7社30製品が承認されました。先発品と同じ
カプセル剤は、沢井製薬、日医工及びファイザーの3社12製品が承認され、
内用液は、東和薬品及びニプロの2社2製品が承認されています。また、
先発品にはない錠剤として、高田製薬、東和薬品、ジェイドルフ製薬(第一三共エスファ)及びニプロの4社16製品が承認されています。
現在公開されている情報に基づき、各社の競合関係を分析したところ、以下のような結果が得られました。
錠剤4社16製品中、3社が共同開発ですので、実質的には2社8製品、
内用液2社2製品も共同開発ですので、実質的には1社1製品ということになります。一方、
カプセル剤3社12製品は、40mgカプセルのみ、沢井製薬と日医工の共同開発ですので、実質的には3社11製品ということになります。
製品比較
各社の添加剤・サイズ・色を比較したところ、以下のような結果が得られました。
販売名 | 添加剤 | カプセルサイズ | 色 |
ストラテラ カプセル5mg |
部分アルファー化デンプン
ジメチルポリシロキサン
| 3号 | 橙色 |
ストラテラ カプセル10mg | 3号 | 白色 |
ストラテラ カプセル25mg | 3号 | 青色/白色 |
ストラテラ カプセル40mg | 3号 | 青色 |
アトモキセチンカプセル5mg「サワイ」 |
部分アルファー化デンプン
ジメチルポリシロキサン
| 5号 | 橙色 |
アトモキセチンカプセル10mg「サワイ」 | 5号 | 白色 |
アトモキセチンカプセル25mg「サワイ」 | 5号 | 青色/白色 |
アトモキセチンカプセル40mg「サワイ」 | 3号 | 青色 |
アトモキセチンカプセル25mg「サワイ」 |
部分アルファー化デンプン
ジメチルポリシロキサン
| 3号 | 橙色 |
アトモキセチンカプセル5mg「日医工」 | 3号 | 白色 |
アトモキセチンカプセル10mg「日医工」 | 3号 | 青色/白色 |
アトモキセチンカセル25mg「日医工」 | 3号 | 青色 |
アトモキセチンカプセル5mg「ファイザー」 |
結晶セルロース
部分アルファー化デンプン
軽質無水ケイ酸
ステアリン酸マグネシウム
| 5号 | 橙色 |
アトモキセチンカプセル10mg「ファイザー」 | 3号 | 白色 |
アトモキセチンカプセル25mg「ファイザー」 | 3号 | 青色/白色 |
アトモキセチンカプセル40mg「ファイザー」 | 3号 | 青色 |
販売名 | 添加剤 | 錠剤サイズ | 色 |
アトモキセチン錠5mg「タカタ」 |
D-マンニトール
結晶セルロース
軽質無水ケイ酸
デンプングリコール酸ナトリウム
グリセリン脂肪酸エステル
ステアリン酸マグネシウム
ヒプロメロース
酸化チタン
タルク
カルナウバロウ
黄色三二酸化鉄(10mg)
三二酸化鉄(25mg)
| 5.6x3 | 淡黄色 |
アトモキセチン錠10mg「タカタ」 | 7x3.6 | 白色 |
アトモキセチン錠25mg「タカタ」 | 8x3.7 | ごくうすい赤色 |
アトモキセチン錠40mg「タカタ」 | 12.7x6x4.5 (楕円) | 白色 |
アトモキセチン錠5mg「DSEP」 |
部分アルファー化デンプン
軽質無水ケイ酸
ステアリン酸マグネシウム
ヒプロメロース
酸化チタン
ヒドロキシプロピルセルロース
タルク
その他2成分
|
5.1x2.8
|
白色
|
アトモキセチン錠5mg「トーワ」 |
アトモキセチン錠5mg「ニプロ」 |
アトモキセチン錠10mg「DSEP」 |
6.6x3.3
|
アトモキセチン錠10mg「トーワ」 |
アトモキセチン錠10mg「ニプロ」 |
アトモキセチン錠25mg「DSEP」 |
7.6x3.1
|
アトモキセチン錠25mg「トーワ」 |
アトモキセチン錠25mg「ニプロ」 |
アトモキセチン錠40mg「DSEP」 |
8.6x3.7
|
アトモキセチン錠40mg「トーワ」 |
アトモキセチン錠40mg「ニプロ」 |
販売名 | 添加剤 | フレーバー | 使用期限 |
ストラテラ内用液0.4% | 安息香酸ナトリウム
リン酸二水素ナトリウム
リン酸
D-ソルビトール液
キシリトール
香料
エチルバニリン
バニリン
プロピレングリコール
スクラロース
水酸化ナトリウム | ラズベリー | 2年 |
アトモキセチン内用液0.4%「トーワ」 |
安息香酸ナトリウム
リン酸二水素ナトリウム
リン酸
D‐ソルビトール液
キシリトール
香料
プロピレングリコール
スクラロース
水酸化ナトリウム
|
グレープ
|
3年
|
アトモキセチン内用液0.4%「ニプロ」 |
先発にない剤形の錠剤では、錠剤化することで差別化を図り、加えて、
それぞれ添加剤・形・サイズ・色に特色が見られます。
先発と同じカプセル剤では、先発と添加剤・サイズ・色を合わせた日医工、先発よりも小型化を図った沢井、先発と異なる添加剤を使用したファイザー(Mylan)とそれぞれ特色が認められます。
内用液では、製剤特許(5973073)が登録されているため、先発とフレーバーが異なるものの、使用されている添加剤は似ており、
先発の使用期限が2年であるのに対し、ジェネリックの使用期限は3年に延びているという特徴があります。
それぞれに特色があるため、どの製剤が市場で受け入れられるのかが注目です。
次回は、エレトリプタンについて、分析したいと思います。